(鉄筆)部活動の地域移行

(鉄筆)部活動の地域移行
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 文科省が定めた部活動の地域移行期間の1年目が終盤にかかるこの時期、本紙が全国各地の自治体での取り組みを報じている。第3回までだが、各取り組みに頭が下がる思いで読ませてもらった。

 「顧問教員との連携」や「平日に指導する人材がいないこと」などを理由に中学校において部活動指導員を依頼している割合がわずか8・7%という日本スポーツ協会の調査結果(2020年)は、今回本紙が報じた各自治体の取り組みでの課題そのものではないか。静岡市の合同部活動などは違う見方をすれば新たな教員負担を生み、働き方改革に逆行しているとも解釈できる。

 部活動の地域移行は90年代に国が総合型地域スポーツクラブを発案した際にも提言された。しかし、指導者や運営スタッフ、施設、運営費用といったヒト・モノ・カネの慢性的な不足で地域格差はあるものの活動は停滞しているところが多い。今回の地域移行対策でスポーツクラブとの全面的連携をスポーツ庁は明言せず新たなモデル地域を指定するにとどまっている。

 地域移行で最も懸念されるのが参加者の年齢差・個人差による指導の困難性であろう。参加人数に伴う施設の問題もある。現在、成功しているクラブを見ると土・日に限っての事例が大部分だ。平日の指導が加わることでさらに混乱が予想される。

 クラブの管理運営を民間企業に、財政や施設の支援、さらに早期退職者も含めた教員の再任用など厚い指導者層の養成・育成援助も、「丸投げ」ではなく、地域を育てる視点を忘れてはならない。

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