【教育課程を学ぼう(30)】教育課程の評価と改善

【教育課程を学ぼう(30)】教育課程の評価と改善
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 教育課程の評価と改善については、教育課程の編成・実施が学校の教育活動や学校運営の中核に据えられていることから、これまでも学校評価の取り組みに位置付けられ実施されてきた。今回は、教育課程の評価と改善を実質的に進めていくための視点と方法を整理してみたい。

教育課程編成・実施の手順から評価の道筋を捉える

 各学校における教育課程の編成は、学校教育目標の設定、年間の授業日数、授業時数の設定を前提に、各教科などの指導計画、道徳教育ほかの全体計画が作成され、同時に担当する指導組織と体制が決定され授業として実施されていく。指導計画の作成とともに週案などを作成し進行を点検している学校もある。授業の進展の過程で、児童生徒の学習状況の評価が行われる。授業を担当する教員は一単位時間ごと、単元ごとなどの授業の実施についての振り返りを行い不断に改善を進めている。

 一方、各学校で少人数指導やTTなどの指導体制をとっている場合は、この指導体制の効果が評価対象になる。教育課程の評価に当たっては、これらの編成・実施に至る手順を視点として実施するとともに、教育課程の編成・実施の当事者ごとに評価内容・方法を設定する。

視点を明確にした教育課程の評価

 教育課程評価の中心に位置付くのは、教育課程および各教科などの目標が児童生徒に確実に身に付いたかどうかという点である。このことを明らかにするためには、各教科などの学習状況を、学級や学年ごとに評価の観点および評定の分布状況として示し、課題を把握することが必要である。この作業を通じて、つまづきがちな事項を把握し、指導の改善の手だてを考える。つまづきがちな事項の把握については、平素の授業だけでなく、全国学力・学習状況調査や自治体で行われている学力調査の結果を生かすことも有益である。教育課程の評価と改善の中心は、児童生徒の学習状況の改善であることを、まず押さえておくことが大切である。

 次に、教育課程の管理・運営面の評価である。特に、義務教育段階の小・中学校では、学習指導要領の各教科などの章に示す事項は全て取り扱うことが求められている。このことを確実にするためには、一定期間ごとに指導計画および全体計画の進捗(しんちょく)状況、各指導事項の実施状況を把握し課題の有無を確認する。また、学校で少人数指導や習熟の程度に応じた指導、TTなどを実施している場合は、それぞれの教育効果を児童生徒の学習状況および運営面で評価し、課題を把握・改善の道筋をつけていく。

当事者ごとの教育課程の評価

 別の角度から考えると、教育課程の評価と改善を当事者ごとに設定し進めることも大切である。授業を担当する教員としての評価は、上記に指摘したように、日々の授業の成果を児童生徒の学習状況の視点から振り返り、授業の改善、指導計画の見直しにつなげることである。全体計画の担当についても同様に、各教科などの連携状況、取り組みの状況を把握し、改善の方向性を提示する。

 次に教育課程全体を見渡すことのできる教務の役割である。教務担当は校長の方針の下に、教育課程を構成する授業日数・授業時数および各教科などの指導計画、全体計画の実施状況を把握し、課題の解決に向けた取り組みを進める。

 最後に校長の立場からは、当事者ごとの評価、分掌ごとの評価を総括し、教育課程を編成・実施する組織体制面の評価を行う。教育課程の実施は、分掌組織の上で行われており、物的な諸条件も含めてより適切な指導体制を求めていく必要がある。

(終わり)

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