石川県加賀市の学校では「学びを変える」プロジェクトとして、個別最適な学びと協働的な学びを軸に授業改善を行っています。今回は、個別最適な学びと協働的な学び+αで取り組んでいる学校を紹介します。
まずは橋立小学校と橋立中学校です。両校とも文科省のリーディングDXスクールの指定を受け、ICTを活用した授業改善に取り組んでいます。例えば、小2の国語では音声入力を使った文章の作成、小5の算数では問題の解き方を解説する動画の作成、中1の数学では問題づくりをして解答をスライドで作成、といった活動を行っています。作成したものはクラウドに保存して、他の子どもも活用できるようにしています。こうした学習はデジタル端末があるからこそできるものです。個別最適な学びと協働的な学びにICTを加えることによって、学びの質が変わってきていることを感じています。
次は南郷小学校、全校児童が約50人の小規模校です。1クラスの人数が少ないので、先生の目が行き届きやすい反面、多様な意見は出にくいのが難点です。しかし、オンラインで他校とつないで学習すれば、たくさんの仲間と学ぶことができます。南郷小学校では全学年がオンラインでの学習を経験しています。基本的には大型モニターでお互いの教室を映す形で交流していますが、6年生は1人1台端末でつながり、3~4人のグループで作成した防災ポスターについて話し合うことも行っています。オンラインで他校と交流することで多様な見方や考え方に触れ、学びが深まるようになってきています。
最後は東谷口小学校、同じく全校児童約40人の小規模校です。複式の学級では担任が2学年に向けて同時に授業することもあり、特別なカリキュラムが必要でした。しかし、個別最適な学びと協働的な学びを取り入れることで、その問題も解消できます。3・4年生の算数ではどちらの学年も子ども一人一人が自分のペースで学習を進めているので、担任は子どもたちの見取りをすることに集中できるようになりました。こうした授業改善は子どもたちの学習の質を高めるだけでなく、教師の負担を軽減することにもつながります。また、4年生が3年生を教えることがあるのも複式の学級の良さで、他校にはない協働の姿があります。
いずれの学校も、子どもたちの学びのために先生方が熱意をもって頑張っているのが印象的です。
(プロジェクトマネージャー 佐々木潤)