重傷度が高い事故として、食べ物による窒息があります。乳幼児と高齢者に多い事故ですが、小中学生でも起こります。
人は二足歩行のため、空気の通り道と食べ物の通り道が喉頭部で交叉しており、食べるという行為には常に気道異物や窒息のリスクを伴っています。いったん、食べ物が口の中に入ると、外部から嚥下(えんげ)をコントロールすることはできません。
食べ物による窒息は、就学前の子どもと、小学生以上に分けて考える必要があります。
乳幼児はそしゃく機能が発達しておらず、また食べ物をすりつぶす臼歯がないため、窒息を起こしやすい傾向があります。乳幼児にとって危険性が高い食べ物とその調理法については内閣府などからガイドラインが出ており、その中に詳しく記載されています。小学生以上であれば、安全な食べ方を教える必要があります。これまでに、学校管理下の小中学生で起こった食べ物による窒息死例を見てみましょう。
事例1:2010年2月10日、栃木県真岡市の小学校1年の男児が給食で出された白玉汁の白玉を吸い込んで窒息して脳死状態となり、3年後に死亡した。
事例2: 12年7月17日、栃木市の保育園で2歳の女児がおやつで出されたフルーツポンチに入っていた白玉団子を喉に詰まらせ、約1カ月後に死亡した。
この2事例はいずれも同じ会社が作った白玉団子でした。
事例3: 15年9月11日、大阪市立小学校1年の女児が給食で出されたウズラの卵を喉に詰まらせて、2週間後に死亡した。
小学1年生は歯が抜け替わる時期で前歯がないために、食べ物をそのまま強く吸い込んだ可能性があります。
事例4: 16年8月18日午後0時25分ごろ、愛媛県四国中央市の小学校5年の女子児童が野外活動中に、昼食で長さ9㌢、直径2.5㌢のソーセージを半分にして食べた直後に喉に詰まらせ、7時間半後に死亡した。
食べ物の形状・大きさ・硬度ではなく、食べ方に起因する窒息もあります。
事例5: 02年1月15日、愛知県尾西市(現・一宮市)の中学校3年の男子生徒3人が、給食で出されたミニロールパンの早食い競争をした。そのうちの1人が、一口でパンとサラダを食べ、牛乳を飲んだところで倒れた。教員らが、生徒の喉に詰まった食べ物をかき出すなどし、救急車で病院に運んだが、3カ月後に死亡した。生徒らは「正月のテレビ番組を見て面白そうだからやろうと思った」と話した。
児童生徒に対し、食べ方を教える必要があります。「Safe Kids News」のYouTubeチャンネルで「窒息予防の、は・ひ・ふ・へ・ほ」という動画を公開していますので、ぜひ活用してください。
Safe Kids News: 窒息予防の「は・ひ・ふ・へ・ほ」