教員志望者に必須である教育課程に関する内容を分かりやすく学んでもらうために30回にわたり連載した「教育課程を学ぼう」(執筆・工藤文三国立教育政策研究所名誉所員・浦和大学特任教授)。その重要ポイントをダイジェストで紹介していく。
「教育課程」とはどのような意味なのか。総則の解説では次のように述べられている。
「学校において編成する教育課程については、学校教育の目的や目標を達成するために、教育の内容を児童の心身の発達に応じ、授業時数との関連において総合的に組織した各学校の教育計画であると言うことができ、その際、学校の教育目標の設定、指導内容の組織及び授業時数の配当が教育課程の編成の基本的な要素になってくる」
教育課程とは学校で編成すること、その要素は教育目標、指導内容の組織、授業時数の配当である。
教育課程の本来的な課題は、教育目標の実現のために、どのように内容を選択し、その内容をどのような考え方で区分し、学習の順序に応じて編成するかという点にある。また、必修や選択などの履修方法、履修と修得の関係も教育課程の重要な要素である。
法令に定める教育課程に関連する主な事項は次の通り。
▽教育基本法:教育の目的、教育の目標、義務教育の趣旨と目的、学校教育
▽学校教育法:義務教育の目標、学校種ごとの教育の目的、生涯にわたる学習の基盤としての学力、修業年限
▽学校教育法施行規則:学校種ごとの教科等の種類、各教科等・各学年の授業時数および総授業時数、教育課程の基準によらないことができる特例、公立学校における休業日、私立学校における学期および休業日
▽学習指導要領:教育課程編成の原則、各教科等の目標、内容、指導計画の作成と内容の取り扱い
教育課程の基準を国が定めることの意義は、全国的に一定の教育水準を確保し、全国どこの学校でも一定水準の教育を受ける機会を保障する点にある。各学校で編成する教育課程は、この基準を順守することが求められるが、一方で児童生徒や学校、地域の実態等を踏まえて一定の創意工夫が可能となっている。この意味で、学習指導要領は各学校で編成する教育課程の大綱的な基準としての性格を持つ。