【Be the Player~人口6万人のまちからの教育改革~(10)】生成AIは未来の「普通」になるからこそ

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 石川県加賀市には石川県で唯一、文科省が指定する「リーディングDXスクール」があります。そして、指定された市立橋立小学校・橋立中学校では、県内・市内のみならず、全国に先駆けたデジタル技術を活用する取り組みを実践し続けています。

 2023年、教育分野でも大きな話題になったのが生成AIです。橋立中学校は23年5月、全国的に見て最も早いタイミングで生成AI「ChatGPT-3.5」を用いた授業に取り組み、その様子はNHKで放映されるなど、大きな反響を生みました。

 STEAM教育を推進する加賀市の学校教育の特徴は、デジタル技術の発展を課題解決に用いようとする姿勢です。生成AIという新たな技術が登場したときも、橋立中学校の技術科担当教諭が、「課題解決に使えないか」と思うと同時に、授業での適切な使い方を意識する必要があると考えました。そして、次の4点を目的とした授業を行いました。

 ①生成AIとのやりとりを体験する。

 ②生成AIに対して、必要とする回答を得るためにふさわしい問い(コマンドプロンプト)について考える。

 ③生成AIが出力する情報をうのみにするのではなく、クリティカルシンキングの目を育む。

 ④生活や学習のさまざまな場面で生成AIが活用できることに気付く。

 そして、市内の各学校では常に、リーディングDXスクールの橋立中学校の取り組みを参考にしています。文科省から23年7月4日に「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」が公開されたことを機に、橋立中学校の実践に興味・関心を持つ学校が現れ、8月に公募が始まった「生成AIパイロット校」事業には市立山中中学校が応募し、採択されました。この「生成AIパイロット校」についても、石川県では山中中学校が唯一選ばれており、生成AIの適切な活用について地域をリードする存在になることが期待されています。

 私たちの取り組みは、ただひたすら目の前にいる子どもたちと徹底的に向き合い、「そろえる」から「伸ばす」方向に教育を変えよう、子どもたち全員を絶対に「主役」にする授業に変えていこうというもの。学校教育の本命とも言える「授業改革」に全小中学校の「団体戦」でチャレンジするという、青臭さ・泥臭さ満載のヒューマンストーリーです。 

 本連載第1回目の教育長の言葉です。

 子どもたちの未来においては「普通」になるであろう生成AIについても、加賀市の学校教育に関わる全ての人間が真剣に向き合い、子どもたちの「今」から「未来」につながる「幸せ」を生み出そうとしている雰囲気をお伝えし、本連載の終了とさせていただきます。(おわり)

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