第2回 学校風土の測定に科学が必要な訳

第2回 学校風土の測定に科学が必要な訳
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 学校風土は、学校の環境や雰囲気のことを言います。「職場風土」「地域風土」といった言葉を思い浮かべると、何となくその示すところが分かってくると思います。
 しかし、「あなたの勤めている学校の学校風土はどうですか?」と尋ねられたとき、あなたはどのように回答するでしょうか。おそらく、考えれば考えるほど、どう答えればよいか難しいと思います。
 なぜなら、「学校風土が何か」が曖昧だからです。例えば、校長先生の視点からは「学校風土がとても良い」と見えていても、一般の教師からはそう見えてはいないかもしれません。もちろん、同じ一般の教師でも違う可能性があり、「うちの学校は規律正しいから学校風土が良い」と思う人もいれば、「うちの学校は規律正しいが息が詰まりそうだから学校風土は良くない」と思う人もいます。
 とはいえ、学校風土が子どもの行動に影響を与えることは間違いありません。となると、やはり「学校風土が何か」を明らかにしなければなりません。そうでないと、学校風土を良くするために何をしたらよいのか分からないからです。また、さまざまな取り組みをした結果、学校風土がどのように変化したのかを知るすべもありません。
 そこで私たちは科学を使います。研究により、学校風土が何かを明らかにし、それを測定するための物差しを開発します。実のところ、世界では学校風土への注目が100年以上前から始まっていて、すでにたくさんの学校風土尺度(学校風土を科学的に正しく測定するための物差し)が開発されてきています。そうした研究を見ていくと、学校風土が何であるのか、どのような要素によって構成されているのかが分かります。
 それならば、世界中で使われている学校風土尺度を日本で使っていけばよいと思うかもしれませんが、調べてみたところ、そう簡単なものではありませんでした。
 なぜか??。学校風土は学校の雰囲気であり、教師の行動、授業、ルール設定などが関連します。つまり、その国の教育制度や文化背景の影響を色濃く受けざるを得ません。そのため、アメリカの学校風土尺度をそのまま日本で使うというのは、現実的ではない可能性が高いのです。
 では、どうすればよいのか??。そこで私たちは、日本の学校風土が何なのかを明らかにし、学校風土を正確に測定するための尺度を開発するための研究を始めたわけです。

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