2017・18年告示の学習指導要領の特色に、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善が挙げられる。教員採用試験では、この学びをどのように捉えるか、学習指導要領の総則には4カ所、また各教科等の「指導計画の作成と内容の取扱い」の冒頭にもそれぞれ学習の充実を図ることが示されている。
この学びの実現に向けた授業改善の具体的な内容については、学習指導要領解説総則編に中教審答申の説明を引用する形で示している。主体的な学びについては、「自己のキャリア形成の方向性」との関連、「見通しをもって粘り強く取り組み、自己の学習活動を振り返って次につなげる」学習であること。対話的な学びについては、「子供同士の協働、教職員や地域の人との対話、先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じ、自己の考えを広げ深める」学習であること。深い学びについては、「各教科等の特質に応じた「見方・考え方」を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう」学習であるとしている。
学校で実施される道徳教育は、「道徳性を養う」ことを目標とし、「特別の教科である道徳を要として学校の教活動全体を通じて行う」とされている。この学校の教育活動全体を通じて行う方法は、1951年の学習指導要領(試案)において、「道徳教育は、その性質上、教育のある部分でなく、教育の全面において計画的に実施される必要がある」とされ、その後現在まで引き継がれてきた。
「学校の教育活動全体」とは、道徳科はもとより、各教科等それぞれの特質に応じて、児童生徒の発達段階を考慮しながら道徳性を養うことを目指した教育を行うことを指す。道徳科と教育活動全体で行う道徳教育との関連は、前者が後者の「要」とされている。
また、08年告示学習指導要領までは、道徳の時間は、各教科等における道徳教育を「補充、深化、統合」する関係とされていた。「要」とは扇の要を連想させるものがあり、各教科等で行われる道徳教育を道徳科において統合するという意味と考えられる。
現行学習指導要領の特色の一つに、教科等横断的な視点からの教育課程の編成を掲げたことが挙げられる。これまで「横断的」の語は、総合的な学習の時間において「教科等の枠を超えた横断的・総合的な学習」や「横断的・総合的な課題」として用いられてきた。今回は、総合的な学習の時間ではなく、教育課程の編成に際して教科等横断的視点に立った資質・能力の育成を図ることを求めている。
各学校において教育課程を編成する際の前提となる条件が授業日数と授業時数である。授業日については、学校教育法施行規則の休業日の規定から導かれる。学期の区分を2学期・3学期のどちらで実施するかによって1年間の授業日数が異なる。授業時数については、同規則の別表に示されている各教科等および各学年の標準授業時数が基準となる。1年間の授業週数については、学習指導要領で年間35週以上(高校は35週を標準)とされている。週当たりの授業時数について小中学校に規定はないが、全日制高校においては30単位時間が標準とされている。
幼児・児童・生徒が、一定の期間学校に在籍し、次の学校に進学していく制度を前提にすると、学校段階間で学習や生活をどのように円滑に接続していくかが課題になる。
▽幼稚園と小学校の接続=入学当初においては、幼児期が遊びを通じた生活であったことを踏まえ、生活科を中心とした合科的・関連的指導や弾力的な時間割を設定するなどの工夫を行う。
▽小学校と中学校の接続=9年間の義務教育を見通した資質・能力を育むことを明確にする。そのためには、各教科等の指導計画を作成する際に、目標や内容の9年間の系統や関連を踏まえるようにする。また、小学校高学年において中学校との関連を、中学校1学年においては小学校高学年との関連を、それぞれ指導計画に示すことも有効である。
▽中学校と高校との接続=高等学校学習指導要領では、義務教育段階での学習内容の確実な定着を図る工夫が3点示されている。(1)各教科・科目の指導について、義務教育段階での学習内容の確実な定着を図るための学習機会を設ける(2)必履習教科・科目の単位数を標準単位数の標準の限度を超えて増加し、義務教育段階での学習内容の確実な定着を図る(3)義務教育段階での学習内容の確実な定着を図ることをねらいにした学校設定科目等を履習させた後に、必履習教科・科目を履修させるようにする――である。