エントリーに備えよう 自己PRを考える

エントリーに備えよう 自己PRを考える
iStock.com/Jakub Jirsak
【協賛企画】
広 告

 今夏に実施される教員採用試験(2025年度採用)の実施要項は、4月に入ると順次公開、配布されることになっている。教採試験は、この募集要項を入手し、出願することから始まる。受験する自治体の要項を速やかに入手して、内容をよく確認して的確に対応しなくてはならない。受験の申し込みをする際の留意事項、自己PR文作成の方法などを見てみよう。

[出願の準備]

募集要項を的確に読む

 採用試験実施要項を入手したら、内容をよく確認して的確に対応しよう。

 特に、提出書類はいくつかあるので、遺漏のないようにしたい。受験説明会を開催する自治体もあるので、余裕があれば参加してみてもよい。

 実施要項に記載されている内容は、主に募集する校種・教科(科目)およびその採用見込み数、選考日、選考方法、受験申し込み方法、締切日、申し込みに関する注意事項、選考結果の発表、受験資格、提出書類、提出先など。

 じっくりと内容を読んで、日程、試験の内容、出願に当たってどのような書類を準備すればよいのかなどをきちんと確認したい。提出書類の中には、手続きから手元に届くまでに、3~4日あるいはもっとかかるものもある。提出するときに「書類がそろっていない」などとならないよう、早めに準備が必要だ。また、出願の受け付け開始から締め切りまでが1週間、という短い期間の自治体もあるので注意だ。

 願書と一緒に提出する書類は、種類が多い場合もある。2次試験時に提出する書類も含めて、主な提出書類と記載する事項を参考までに「主な提出書類および記載事項」としてまとめておいた(表1)。

表1 主な提出書類および記載事項


・志願書(受験申込書)
・教員免許状の写しまたは取得見込み証明書
・最終卒業・終了証明書または卒業見込み証明書
・成績証明書
・健康診断書
・証明写真
・自己PR文または自己推薦文
・勤務先所属長などの推薦書・人物証明書(社会人など一部の受験者のみとしている場合も含む)
・クラブ活動・部活動
・ボランティア活動
・各種検定試験等の成績
・得意分野・重点履修分野
・教育実習の実施状況

※各自治体によって異なるので実施要項をよく確認すること

 提出書類を書くときの主な注意事項は、次の通り。

・文字の大きさを整え、文字列をそろえる
・誤字、脱字のないようにする
・丁寧に書く
・ペンで書く
・設問の意図をよく理解して的確に対応する
・回答様式を確認して、適切に書く
・句読点、止めなどに気を付ける
・語尾を統一する(敬体「~です」または常体「~である」のどちらかに)

 提出の際は、内容や様式、提出期限を確認するとともに記載漏れがないかどうか、よくチェックすること。

自己PR文は重要な面接のネタ

 自己PR文や自己推薦書の提出が必要な場合も少なくない。また、志願書(受験申込書)に特技や学生時代に頑張ったこと、留学やボランティアの経験などを記入させるケース、個人面接の前に面接カードに同様のことを記入させるケースもあり、これらはいずれも面接の際のネタ、資料になるのでよく考えてしっかりと記入したい。

成果の中から資質と能力をプレゼン

 まず、自己PR文についてだが、要点は「自分のこれまでの経験、またはこれまでに上げてきた成果などが、教員として仕事をする上でどのように役に立つのか」を記すことである。つまり、自分の資質・能力がどのようなものであるかを伝え、それが教員という仕事に適しているということを分かりやすく説明して、自分を売り込むということだ。一種のプレゼンテーションと思った方がよい。

 あいまいな内容、表現ではなく、自分が頑張ったことなどを具体的なエピソードとともに述べることが大事であるとされる。また、たくさん書けばよい、というものではなく、大きな柱となるものを決め、そこから派生させて書く、という手もある。この自己PR文を読んで、自分がどのような人間かをイメージできるようにすることが大事だ。「自己PRをまとめるためのポイント」(表2)を参考にしてもらいたい。

表2 自己アピールをまとめるためのポイント

・自分の性格はどのような特徴を持っているか
・自分は友人からどのように見られているか
・学生時代に力を注いだ科目、分野は
・大学のゼミ、卒論などで学んだことは
・アルバイト、ボランティア、留学などで学んだことは(印象に残ったことは)
・サークル活動、資格取得、コンテストなどで力を入れたことは
・理想とする教員像は
・教育実習、学校ボランティアで学んだことは(印象に残ったことは)
・(講師などの経験者は)教職の経験で学んだことは(印象に残ったことは)
・(社会人経験者は)勤務経験で学んだことは
・感銘を受けた本、映画などは
・現在、最も関心のあることは
・趣味、特技は(好きなスポーツなども)
・教員免許以外で取得している資格、技能と取得動機
・教職に対する自分のアピールポイントは

見出しでビジュアルを工夫

 特に、見やすさを工夫するとよい。作文ではないのだから、「大学時代に力を入れたこと」「私の性格で教師に向いている点」など小見出しを入れて、報告文やビジネス文書的なスタイルを取り入れてもよいだろう。「ボランティアで笑顔の大切さを知る」などアピールポイントを見出しにすると分かりやすい。

根拠と前提を示して納得させる

 アピール事項については、全てに根拠と前提を明らかにすることが重要となる。そのポイントは、次の4点だ。

 (1)前提となることをきちんと示すこと
 (2)「なるほど」と思える話の展開を仕込むこと
 (3)主張すべきことを絞り込むこと
 (4)履歴書を見れば分かることや、在籍学科、取得した資格の名称を連ねることなどは避け、その資格をどのようにして取得したか、取得するまでの具体的な努力などを盛り込み自己を語ること

 自己PR文だけではなく、志願書には「得意分野・重点履修分野」「参加した部活動・サークルの記録」「ボランティア活動経験」「研究事項・卒業論文」「教員として生かせる民間企業の勤務経験」「趣味・特技」「海外留学経験」などの記載事項がある。これらの内容は、早いうちにきちんと整理しておこう。

 重要なことは、コピーをとるなどして、自己PR文や志願書の内容をしっかりと覚えておくことだ。面接の際に忘れてしまい、提出書類と異なることを話してしまったら一巻の終わりである。

結論から先に述べる習慣を

 面接時における自己PRも基本的には同様である。「自己PRを1分間自由にしてください」「あなたの長所と短所を教えてください」という一般的なものから、「あなたのどこが教員に向いていますか」「教員を目指す上で、力を入れてきたことは何ですか」という教員と関連付けたものまで、面接ではいろいろ出されるだろうが、基本は「具体的なエピソードを混ぜて、根拠を示しながら述べる」ということ。

 そして、「結論から述べる」「アピールすることを先に述べる」ということを心掛けよう。結論から先に述べると、「なぜならば……」と話を続けることになり、その根拠や前提について説明していくことになる。つまりは、話がロジカルになって、相手に言いたいことが伝わりやすい、というわけである。普段からこの話し方を訓練するとよい。

 早いところでは、4月の上旬から、願書の受け付けが始まる。自分のアピールポイントについて、今からしっかりとまとめておこう。

広 告
広 告