第8回 チーム学校で非認知能力を伸ばすためには②

第8回 チーム学校で非認知能力を伸ばすためには②
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 皆さんは、これまでもよく使われてきた「心豊かさ」をどんな非認知能力としてイメージされますでしょうか。言い換えるなら、子どもたちが心豊かになっていくためには、どのような非認知能力が必要なのでしょうか。決まった正解などはありませんし、辞書に書かれている通りのことが求められているわけでもありません。各校の先生たちが(もしくは子どもたちも)「心豊かさ」を共通理解する中で、どのような力へと具体化できるかが問われているのです。

 例えば、自信と意欲かもしれませんし、共感性と協調性かもしれません。それぞれの学校で掲げた目標について、それぞれの学校が責任を持って議論し、具体化していく取り組みこそがステップ1.0なのです。さらに、自信と意欲であるとすれば、子どもたちが自信や意欲を持ち始めていることが分かる行動について、それぞれ言語化を試みましょう。

 この行動の言語化(行動指標)は、第5回でも触れた通り、非認知能力の変容や習慣化した行動によって表出されることを前提としています。仮に一人の子どもの意欲の変容を見取って「最近、あいつの目が輝いてきたなぁ」と表現しても、それは個人の主観的な印象でしかありません。そこから脱却するためにも行動レベルへの見取りにまで落とし込みたいですし、そのためにも言語化は欠かせません。なぜなら、言語化すれば共有ができるからです。

 さて、ステップ1.0を教師たちや子どもたちと一緒に議論しながら取り組んできたとしましょう。これで、その学校独自の「学びに向かう力、人間性等」や「主体的に学習に取り組む態度」の評価の観点が言語化できたことになります。しかし、ここでとどまってしまっては、まだ「絵に描いた餅」になってしまうので要注意です。

 次は、ステップ2.0として、教師が子どもたちを見取る際の見取りの観点として使ってみてください。子どもの見取りは、特に卓越したベテラン教師ほど優れたものがあり、他の教師が気付かないことに気付くことができます。これは、その教師が明確な観点を持っているからであり、漠然と子どもたちを眺めているのではないという証しそのものです。

 この観点を個人だけにとどめておくのではなく、チームで共有すること、それがステップ1.0によって可能となります。ぜひ、チーム学校で見取りの観点を共有して、フィードバックへとつなげていただきたいものです。また、「教師→子ども」だけでなく、子ども自身も何かを取り組む前にあらかじめ意識したい非認知能力や行動をステップ1.0から持ってくることもできます。ここまでできれば、本当の意味でチーム学校として学校教育目標を共有できたことになります。そうなるともはや「絵に描いた餅」にはならないでしょう。

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