第5回 学校風土の正体 日本の子どもたちが重視していること

第5回 学校風土の正体 日本の子どもたちが重視していること
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 私たちは2017年に学校風土尺度「JaSC」を開発し、その後たくさんの学校でデータを収集してきました。そのことにより、幾つか分かってきたことがあります。

 例えば、データを統計的に解析し、その情報量を明らかにしたところ、日本の子どもたちが重視している項目が明らかになりました。その中から、特に重要だと思われる5つの項目を紹介しましょう。

 ・この学校の児童生徒は、一人一人の違いを大事にしている

 ・この学校の児童生徒は、学校の活動を友達と一緒にすることを楽しんでいる

 ・この学校の児童生徒と先生の関係はいい

 ・私の担任の先生は、私に自信を持たせてくれる

 ・この学校の先生は、いじめなどをしっかりと注意してくれる

  このように、日本の子どもたちは学校風土として、「学校において多様性が尊重されること」「友達と一緒に行う楽しい活動があること」「教師と子どもの良い関係」「子どもの自己肯定感に配慮した支援」「いじめ防止の徹底」が大切だということなのですが、これらは全て教師の行動次第ではないでしょうか。つまり、日本において、学校風土の鍵を握っているのは教師であり、教師の行動を変えることが学校風土の向上につながるのだと言えます。

 さらにJaSCの研究を進める中で、日本の学校風土は「学校の安全:School Safety」と「学校における積極的関わり:School Engagement」の2つの要素で構成されていることが分かってきました。つまり、学校風土は子どもたちが学校で安心安全と感じられていることと、子どもも教師も集団に対して積極的に関わりを持つことの2つでできていて、その2つを重視すれば、学校風土の向上が図られるということなのです。

 でも、考えてみれば納得しないでしょうか。体と心の安全が保たれること、つまりいじめや体罰はもちろん、高圧的な指導や強制がないことは重要ですし、その集団の活動にみんなが協力的であり、責任を持って積極的に関わることはその集団の状態を良くし、いじめや不登校を予防するに決まっています。

 問題は、その2つの項目をどうすればより良くできるのかということです。学校風土は子どもが評価します。子どもが安心安全と思える学校、子どもが積極的に集団に関わろうと思える学校をつくらなければなりません。実はその方法についても研究が進んでいるのです。

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