日本学校風土尺度「JaSC」で測定すると、当然ですが結果が出ます。私が所属している子どもの発達科学研究所のシステムを使うと、学校・学年・クラスの各段階で、学校風土が平均的なのか、それとも良いのか悪いのかについて明らかになります。JaSC改訂版の場合、20ある各項目ごとに、どのような状況なのかが明らかになります。さらには、日本の学校風土の2側面、「学校の安全:School Safety」と「学校における積極的かかわり:School Engagement」それぞれの状況と結果から、どういうことをするのが学校風土の向上に資するのかを明らかにできる、画期的な内容です。
さて、学校風土尺度を実際に測定した学校がどのような反応をしたのか、興味はないでしょうか。上述したJaSC改訂版は2024年のリリースですので、旧バージョンの話になりますが、これまでに多くの学校が学校風土を測定しています。その中から幾つか先生たちの印象的な感想をお知らせします。
「子どもは正直だな~」
当たり前のことですが、同じ学校の中でも、子どもたちが学校風土を高く評価するクラスとそうではないクラスがあります。同じ学年のクラス間でも大きな差があることは珍しくなく、結果を見た瞬間に「あー、ここのクラスの子どもはハッピーだな」といったことがはっきりと分かります。こうした結果を見て、校長、教頭、教務主任といった方々が「子どもは残酷なほど正直だな」と言うわけです。
つまり、JaSCの結果を見なくても、「教室ごとの雰囲気の差なんて、廊下を通り過ぎるだけで分かる」というのが校長先生の方たちの反応で、そうしたときの空気感とJaSCの結果がぴったりだったそうなのです。
「とても担任には見せられないな」
そうしたあまりにも正直な結果を、実際に担任教師に見せるのかというと、校長先生によってはかなりちゅうちょされるようです。中には「子どもの評価なのだから、教育のプロとして直面すべきだ。校長はその担任教師を全面的に支え、学校風土向上のために一緒に努力すべきだ」と覚悟を決める方もいらっしゃいますが、赤裸々に教室の状況が分かるだけに、抵抗感はあるようです。
もちろん、学校風土が向上し、実際にいじめや不登校を減らすことに成功している学校の校長先生は、当然ですがJaSCの結果を教員間で共有しているというのは間違いない事実でもあります。