第2回 「学級開き」の前までに行っておくべきこと

第2回 「学級開き」の前までに行っておくべきこと
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 最初の1カ月で、子どもの自己評価を高める声掛けをします。そして、子どもの前向きな気持ちを高めていきます。自己評価を高める声掛けをするには、さまざまな準備をしておかなくてはなりません。

 まずは学級開きまでに、子どもの実態調査を行う必要があります。実態調査が十分でなければ、最初の1カ月で「褒める・認める・励ます」といった声掛けができないこともあるからです。

 例えば、学級開き初日に遅刻した子がいたとします。この場面では、つい、「もう少し早く学校に来ましょうね」とたしなめてしまいそうです。しかし、実はその子は家庭環境に問題があり、学校に来るだけで大変な状況でした。だとすれば、学校に来ただけで素晴らしいことだと分かります。すると声掛けも自然と変わります。「元気に学校に来てくれてうれしいです。良いスタートが切れそうですね」などの声掛けになるでしょう。このように、実態調査をしていると、「褒める・認める・励ます」言葉掛けがしやすくなります。

 ただし、一つ気を付けるべきことがあります。それは、実態調査によって子どものマイナス面の情報を多く集めてしまい、子どもに対してマイナスのイメージを教師が持ってしまうことです。特に、前年度まで問題行動が多かった子の実態調査を行うと、マイナス面ばかりが記録されていることがあります。前担任から、子どもの問題行動ばかりを引き継ぐこともあるでしょう。

 真面目で真摯(しんし)に子どもに向き合う教師ほど、問題行動を防ぐことに意識が向きがちです。しかし、学級開きの段階で子どもに対してマイナスのイメージを持つことは、新年度からの教育に悪影響を及ぼしかねません。

 そこで、問題行動の多かった子ほど、その子の長所や成長などのプラスの情報を集めるようにします。前担任にも、「1年間でできるようになったこと」「長所や頑張った事実」などを聞き取っておきます。私の場合、養護教諭や特別支援教育コーディネーター、教育相談担当など、前担任以外からも情報を集めるようにしていました。必ずその子に対して、プラスのイメージを持って学級開きに臨むようにしていたのです。その子の家庭環境や課題をつかむだけでなく、長所や成長などもつかむことで、より「褒める・認める・励ます」言葉掛けができるようになるのです。

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