京都文教大学こども教育学部教授
学級開きからしばらくして、心理的安全性が確保できたとします。そして、「できる・楽しい」授業で子どもの自己評価が高まったとします。4月にこの状態になったら、今年1年間の目標を書かせます。このとき気を付けるべきは、「できるだけ高い目標」を描かせるようにすることです。現状維持を続けても達成できる目標なら、特に努力を必要としません。
4月の授業で大切にしてほしいもう一つのことは、「学ぶ姿勢」を意識させることです。例えば、「問題に対して自由に意見を言い、議論をすることで、学びを深めてほしい」と教師が思っているとします。そうした教師の思いや願いを子どもにも意識させるのです。
4月に大切にしてほしいのが、「できる」授業と「楽しい」授業を実現していくことです。特に4月の最初は、最低でも「できる」授業は実現しないといけません。「今年は頑張れそうだ」「今年は成長できそうだ」と、子どもの自己評価が高まるようにしていくのです。お勧めは成長が感じられる学習を行うことです。
学級開きで「クラスメートを知る」活動を行い、関係性を生み出していきます。これができたら、徐々に「認め合い」のリレーションシップをつくっていくようにします。「認め合い」とは、例えばクラスメートの良さに注目することや多様性を認めることを意味します。一人一人の才能や感性、性質、長所、性格は違います。各自の個性を尊重する関係性をつくるのです。
リレーション(リレーションシップ)とは、温かい感情交流のある人間関係を意味する言葉です。心理的安全性の確保で大切になるのが、「対人関係の不安をなくす」ことです。対人関係には、例えば教師と子どもとの関係、子ども同士の関係があります。この2つに対してリレーションを築いていきます。
心理的安全性とは、集団の中で対人的な恐れを感じず、安心して発言や行動ができる「心理的な状態」を意味します。実は、学級集団のゴールを示すことや学級における行動規範を示すことは、心理的安全性を高める効果があります。学級集団が目指すべきゴールを共有することで、一人一人がゴールに合致した行動を取りやすくなるからです。
4月の最初の1カ月で、「1年後の学級集団の理想状態(ゴール)」を更新していきます。そして、更新したゴールを教師と子どもたちで共有します。学級集団のゴールを共有していく上で、大切なことがあります。それは、ゴールだけでなく、「行動規範」をも共有することです。
学級開きにおいて子どもたちに必ず伝えてほしいことがあります。それは、「1年後の学級集団の理想状態(ゴール)」です。「どんな学級集団に育ってほしいのか」「一人一人はどのような成長をしてほしいのか」「教師はどんな学級をつくろうとしているのか」をぜひ語ってほしいのです。
最初の1カ月で、子どもの自己評価を高める声掛けをします。そして、子どもの前向きな気持ちを高めていきます。自己評価を高める声掛けをするには、さまざまな準備をしておかなくてはなりません。まずは学級開きまでに、子どもの実態調査を行う必要があります。実態調査が十分でなければ、最初の1カ月で「褒める・認める・励ます」といった声掛けができないこともあるからです。
学級経営が充実すると、自然と問題行動は減っていきます。それどころか、子どもは自らの学びや成長のために、自信を持って行動するようになります。そして、子どもに自立の力や姿勢が育ってくるのです。最初の1カ月で担任が意識したいことは、「子どもの前向きな気持ちを高めること」です。
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