【教育課程を学ぼう】重要ポイント その5

【教育課程を学ぼう】重要ポイント その5
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履修主義と修得主義、年齢主義と課程主義

 進級または卒業の要件として、所定の教育課程を履修することを求める考え方を履修主義という。必ずしも履修の結果として一定の学習成果の基準を満たすことを必要としていない。義務教育は、この履修主義の考え方をとっている。これに対して、履修した結果として一定の基準以上の修得をもって、進級、卒業の要件とする考え方を修得主義と呼ぶ。この基準を達成できなかった場合は、原学年に留め置かれることになる。

 これら2つの考え方に関連するものに、年齢主義と課程主義がある。年齢主義とは、一定の年限の在籍と年齢によって、進級および卒業を認める考え方である。日本の場合、学校教育法第16条で義務教育年限を9年間と定め、第17条でその期間を6歳から15歳と定めていることから、年齢主義によっていることが分かる。これに対して、課程主義とは決められた課程の修了により進級や卒業を認定する考え方である。日本の義務教育の場合、原級留置を可能としていることから、年齢主義に立ちながら修得主義を採用しているともいえるが、実態としては年齢主義と履修主義の考え方によっているといえる。

キャリア教育の充実

 キャリア教育とは、一人一人の児童生徒の社会的・職業的自立に必要な基盤となる資質・能力を育み、キャリア発達を促す教育として説明され実践されてきた。キャリア教育を効果あるものにするためには、教育課程にどのように位置付け、教育活動として具体化するかが問われる。また、教育活動として展開するためには、目標と内容、方法、評価が組み込まれなければならない。

 2017年告示学習指導要領では、次のような改訂が行われた。一つは、キャリア教育は「特別活動を要としつつ各教科等の特質に応じ」て充実を図るとした点である。ここで、キャリア教育は、「各教科等の特質」に応じて実施されること、また、その際の「要」となるのは特別活動とした点である。2つ目はこの「要」を受けて、特別活動の学級活動の内容に「一人一人のキャリア形成と自己実現」を設けている。

体験活動の充実と実施に向けた工夫

 06年に改正された学校教育法では、第30条において学校教育で目指す3つの資質能力が示されたが、続いて第31条では、次のように体験活動の充実に努めることを明記した。第31条では「小学校においては、前条第一項の規定による目標の達成に資するよう、教育指導を行うに当たり、児童の体験的な学習活動、特にボランティア活動など社会奉仕体験活動、自然体験活動その他の体験活動の充実に努めるものとする」とある。

 関連付けて体験的活動を計画的に実施する工夫も考えられる。特別活動や総合的な学習の時間と教科の学習とを関連させて、体験的な活動を計画的に実施する。特別活動の「集団宿泊的行事」の計画を立てる際に、社会科の地理的・歴史的内容と関連させて見学・調査活動を位置付けたり、理科の自然観察活動を位置付けたりすることが考えられる。さらに、総合的な学習の時間において、課題の追究、見学や調査などの活動を行う際に、教科の学習と関連付けた体験活動を計画することができる。

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