あと2カ月ほどで新年度となる。昨夏の教採試験で合格した人は、待望の教員としての生活が始まる。実際に児童生徒の前に出て教壇に立つ前に、心しておきたいこと、準備しておきたいことなどを見てみよう。
公務員としてスタートするに当たっては、まず地方公務員法(地公法)の定めに従って、服務の宣誓をしなければならない。「法令に従い職務を遂行することを誓います」といった内容の宣誓である。
その法令に従うということはどのようなことか。第一は日本国憲法の定めに従うということ。また、公務員としての仕事を進めていくときには、必ず法律法令というものの定めがあるということである。この服務の宣誓も地公法第31条の定めによるものである。
教採試験受験中に勉強したことを思い出してみたい。地公法第30条では「全体の奉仕者として」という定めがある。以下、法令等及び上司の職務上の命令に従う義務、信用失墜行為の禁止、秘密を守る義務、職務に専念する義務、政治的行為の制限、争議行為等の禁止、営利企業等の従事制限といったものが続いている。
さらに教員は教育公務員特例法によって「教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない」ことになっている。常に心しておきたいことである。
教員の仕事は、子供たちに希望と夢を育むことが基本である。こうした仕事に取り組んでいくためにも、守らなければならないものはしっかりと守って教員の道にまい進してほしい。
同時に校務運営がスタートして役割分担や学年分担なども明確にされる。校種によっては学級運営をどのように円滑なものにしていくかが最初の教員としてのポイントとなる。
配慮したい事項として、(1)担任としての自己紹介(2)児童生徒の名前の呼び方(3)学級経営の方針(4)座席の決め方(5)係り活動、班活動、当番活動の在り方(6)学習規律(7)生活規律(8)各教科の特性に応じた指導の在り方(9)保護者会の運営の仕方(10)学年全体の見通し(11)宿題、課題の考え方(12)週計画の基本的な立て方――などが挙げられる。
これらを明確にしておけば、4月を乗り切れるはずである。
次は、校務分掌を通じて学校を動かす内容を熟知するようにしたい。1人の職務の遅れが学校全体の遅れにつながることを自覚しなくてはならない。学校内では、全体を動かす校務については遅れが許されない、ということを認識しておく。新採教員でもベテラン教員でも同じである。仕事の仕方が問われてくる。
続いては、地域を知ることである。通勤上でも地域を歩いて感じたことや最寄りの駅から学校までに何があるか、子供たちの動きのある場所はどこか、地域の特色は何か、何よりも地域に生きる子供たちの姿を把握して自らが理解しようとすることが大事である。
初めての赴任地である。知らないことが多いのは当然であるが、知る努力をしなければいつまでも理解できないままである。
(1)余裕をもって出勤しているか
(2)教室で子供たちを待ってあいさつしているか
(3)出勤から退勤までのリズムがしっかり保てているか
(4)退勤時間がいつも遅くなっていないか
(5)教材研究が思うようにいかないことがあるか
(6)日々が家と学校の往復になっていないか
(7)同僚と会話は十分できているか
(8)力量のある教員を見つけることができたか
(9)健康状態は万全か
(10)毎日が今日明日のことでいっぱいとなっていないか
この自己診断チェックで、自分が教員という仕事に円滑に取り組めているか、苦戦苦労していないかを診断するのである。学校における生活リズムをきちんと確立して、自己研さんを深めていきたい。
次の10項目をぜひ念頭において学校生活を送りたい。
(1)常にプラス思考でいる
(2)アンテナを高くして情報を把握する
(3)自分の趣味を継続する
(4)いろいろなジャンルの仲間をつくる
(5)進行管理と優先順位の方法を明確にして時間づくりに励む
(6)同僚や仲間と学び合う文化を構築する
(7)1人で仕事を抱え込まないようにする
(8)笑顔を絶やさず仕事量とそれにかかる時間を意識して取り組む
(9)努力は必ず報われる社会だということを認識する
(10)先輩を頼って何でも相談する
そうすれば、いろいろと見通す力が付き、余裕が生まれるようになる。時間づくりをして自分の時間を大事にする教員になることを心掛けよう。