果敢にも学校風土の向上に学校全体で取り組み、成果を上げた学校が日本にもあります。
今回は、そうしたケースを紹介しましょう。(事実をアレンジして紹介しています。)
中規模の小学校。学力も高く、問題行動もないのに、なぜか不登校が増えていることから、学校風土を測定しました。その結果、意外なほど学校風土が悪いことに気付かされました。子どもたちは表面上おとなしくしていても、実は我慢をしていたようなのです。
学校風土を高めるには、先生の行動を変えるのが一番ではありましたが、校長先生はそれが難しいと判断しました。先生たちにはベテランが多く、反発が予想されたからです。
そこで研修主任の発案で「子どものスキルを高める」プロジェクトを行うことにしました。具体的には「話し合いのスキル」「問題解決のスキル」に注目し、さまざまな授業でそうしたスキルを高めるための指導を行いました。
その結果、子どもの行動とともに、先生の行動も変わっていきました。子どもたちにそうしたスキルを教えるには、先生自身がスキルを使って見せなければならなかったからです。
その結果、徐々に学校風土が改善し、不登校の新規発生率も減るなどの成果が上がりました。
今やどこの中学校も同じだと思いますが、この学校もいじめ、不登校の両方で悩んでいました。校長先生の「予防が重要」との考えから、学校風土調査を実施。その結果、「教えと学び」の領域、つまり授業の課題が多いことが分かりました。
この中学校だけのことではないですが、中学校の授業は先生が一方的に話し、課題に取り組ませるという形式が多いように思います。そうした授業の在り方が、子どもたちにとって居心地が悪いものになっている可能性があるようです。
そこで、この中学校は真正面に授業改善に取り組みました。とにかく、楽しく、子どもが参加できる授業に変えようとしました。先生の中からは「子どもに迎合するのはおかしい」という反発もありましたが、「迎合ではなく、子どもを大切にし、発達に合わせることが大切なのだ」という考えを共有し、全校での授業改革を成し遂げました。
その結果、少しずつ学校風土が向上し、いじめの認知件数と不登校の新規発生率が減少するなどの成果が出たとのことです。