第7回 キレてしまう子どもへのアプローチ

第7回 キレてしまう子どもへのアプローチ
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 キレる――。自分の感情のコントロールがきかず、怒りに飲み込まれてしまうような姿を表す言葉だと理解しています。最近、この「キレて」しまう子どもたちを目にする機会が増えています。ソーシャルゲームや動画サイト内の文化が教室に持ち込まれていること、日々の小さなストレスがかかり続けていることなどさまざまな原因が考えられるでしょう。

 こうしたキレてしまう子どもたちへの対応は難しく、厳しい注意や叱責(しっせき)など否定的なアプローチを続けても、かえって自己肯定感を下げてしまい、より自暴自棄になってしまう恐れがあります。また、こうした子どもたちに手を焼いているうちに、学級全体が荒れだしてしまうというのもよくある話です。

 そこで有効なのが「問題の外在化」を図るアプローチです。問題の外在化とは、問題と個人とを切り離して考えることで、東京学芸大学名誉教授の野口裕二氏は「外在化によって関係者は互いに責任を押し付け合う関係から、一致団結して外部の敵と闘う同志の関係へと変わる」と述べています。

 実際にキレてしまった子がいたときの対応を考えてみましょう。まずは場所を変え、気持ちを落ち着かせることが先決ですから、時間を空けて冷静になったことを確認してからアプローチをしていきます。

 最初に「怒る前に、自分で怒っちゃいそうだなって気付くことはある?」「いつもどうなると落ち着くの?」などと質問をしていきます。複雑な質問に答えるのが難しい低学年の子などに対しては「ほっとするのは何色?」「怒るときを音にするとどんな感じ?」などとイメージを聞くようにします。子どもがこれらの質問に答えるためには、自分の問題を客観的に考えることが必要になります。つまり、質問に答えていく中で、自分と問題とを切り離して捉えることができるようになっていくのです。

 その上で「じゃあ、まず怒りそうだなと自分で思えたら、3秒でいいから待ってみよう。その後で先生のところに愚痴を言いに来て」「怒りそうになったら緑色のものを見よう」などと一緒に問題の解消法を考えていきます。そうすることで、もし次にキレてしまったときに「今回は何秒待てた?」「緑色は駄目だったか・・・。じゃあ次は場所を変えてみよう」などと、一緒に試行錯誤を繰り返すことができるようになります。

 その子の存在自体を否定することなく、共に問題の解消法を考える。問題の外在化を図ることで、子どもと一緒に問題に立ち向かうことができるようになるのです。

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