「先生、俺帰るわ」 タケシ君がランドセルを背負って現れました。まだ、中休みが始まったばかり。下校までは4時間ほどあります。話を聞くと、仲間とけんかをしてしまったことをきっかけに学校に居たくないと思ったそうです。昨日まで笑顔いっぱいで生活していたのに、表情はどんよりと曇り「こんなクラスは嫌だ」と言っています。「まぁまぁ」と取りあえず下校を食い止め、教室に戻しました。
子どもたちの荒れにアプローチしていくときに、忘れてはいけないのが周囲との関係に目を向けることです。高圧的な態度で接したり、暴言を吐いたりといった行動を繰り返してきた子どもたちは、周囲から敬遠されがちになります。また、悪い評判が立ってしまい、「あの子にはあまり近づかないように」と言われてしまうようなこともあるでしょう。
「陰キャラ」「陽キャラ」「コミュ障」「ぼっち」。子どもたちの間で、こうした「キャラ付け」をして区分するスラングが広く使われるようになりました。場の空気を読めるか、笑いが取れるか。そのコミュ力によってスクールカースト、教室内での地位が変わってきてしまうのです。自分が教室の中でどんな「キャラ」であり、どのような「地位」にいるか。
キレる――。自分の感情のコントロールがきかず、怒りに飲み込まれてしまうような姿を表す言葉だと理解しています。最近、この「キレて」しまう子どもたちを目にする機会が増えています。ソーシャルゲームや動画サイト内の文化が教室に持ち込まれていること、日々の小さなストレスがかかり続けていることなどさまざまな原因が考えられるでしょう。
教室で起こる「荒れ」は分かりやすいものだけではありません。人のことをあざけるように笑ったり、みんなの頑張りや高まった雰囲気に水を差す発言をしたり・・・。むしろそうした「なんだか良くないな」と感じる行動が気になることの方が多いでしょう。
「無理」「やりたくない」「面倒くさい」…。こうしたネガティブな発言は周囲のやる気を奪ってしまうため、放っておくと学級全体の意欲の低下や荒れにつながります。そのため、こうした声が聞こえてきたときは「せっかく頑張ろうと思っている子たちが嫌な気持ちになるような言葉は言わないでほしい」とはっきり伝えるようにしています。
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