文部科学省が発表した2022年度の不登校児童生徒数は29万人を超え過去最多となった。不登校は子供が義務教育を終えたのちもニートや成人の引きこもり問題に発展する可能性があり、国の経済にまで影響を与える、いまや国家的課題でもある。
国は16年にいわゆる「教育機会確保法」を定めた。学習指導要領にこだわらないカリキュラム編成のできる不登校特例校や教育支援センターも充実しつつある。しかし、その後も不登校の数は増え続けている。
昨年末からNHKで不登校に関する特番がいくつか組まれた。その中に解決のためのキーワードがあることに気付いた。「主体性・自立心」である。事例を紹介すると、子供たちの要望に合わせたカリキュラム編成の少人数制の不登校特例校、子供の声を否定しないオンライン授業を行う教育支援室などである。また不登校経験者や教育実践者、さらに文科省初中局長などを集めた座談会形式の番組では、主体性を育てるには「自分で考える体験」が不可欠であることがどの参加者からも繰り返し発言があった。
こうした不登校児童生徒のための条件整備や対策はまだ十分とはいえないが、今後着実に増えていくであろう。あとはカリキュラムと指導者といった「中身」の問題が残る。
その解決のためにも国は、大学の教職課程段階から主体性や強靭性を育てる個別最適な学びの指導ができる教員の養成・育成、そのための学習指導要領の改訂、さらには少人数学級や教員の増員など長期的・総合的な戦略を立てるべきだ。不登校対策待ったなしである。