子どもたちの荒れにアプローチしていくときに、忘れてはいけないのが周囲との関係に目を向けることです。高圧的な態度で接したり、暴言を吐いたりといった行動を繰り返してきた子どもたちは、周囲から敬遠されがちになります。また、悪い評判が立ってしまい、「あの子にはあまり近づかないように」と言われてしまうようなこともあるでしょう。こうして周囲から遠巻きにされるようになると、不適切な行動がさらに増加します。ちょっかいをかけたり、暴言を吐いたりしないと、周囲と関係を持つことすらできなくなってしまうからです。
逆に、良好な関係があれば、良い行動をまねしてみたり、困ったときに助けてもらえたり、落ち着かないときに話を聞いてもらえたりと、良い影響をたくさん受けることができます。そのためにも、まずは周囲の見る目を変えなくてはなりません。
そこで、みんなの前で子どもたちを称賛する機会を意図的に設けるようにします。その子が変わろうとしていること、成長していることを周囲の前でアピールするためです。全体に向けて話す場面や学級通信などを活用して、変化をさりげなく伝えていきます。
全体の前で指導しなければいけない場面では、ただ指導するだけでなく「せっかく○○になったのに、もったいない」「○○なら△△できるはず」など、今までの頑張りを認める言葉を加えるようにします。「また??られている」ではなく「あの子は変わろうとしているんだ」「先生はあの子の頑張りを応援しているんだ」と、周囲に認識してもらえるようにするのです。
また、周囲の子に直接働き掛ける場合もあります。「○○さんが気持ちを分かろうとしてくれるから、△△くんは頑張れているんだと思う。いつもありがとう」と感謝を伝えたり、「今日、△△くんがこんな優しい声掛けをしていたよ」と一緒に喜んだりしながら、その子の変容を見守る気持ちを育んでいきます。また、厳格に指導しなければいけない場面では、「悪いけど、後で愚痴を聞いてあげてくれる?」などと周囲の子に寄り添うことをお願いして、その子が見捨てられることがないように働き掛けていきます。
仲間との良好な関わりは、子どもたちの変容に欠かせません。仲間との関わりの中に身を置き、共に支え合いながら成長できるようにするためにも、周囲との関係をつなぎ留めるアプローチをしていくことが重要です。