4月に大切にしてほしいのが、「できる」授業と「楽しい」授業を実現していくことです。特に4月の最初は、最低でも「できる」授業は実現しないといけません。「今年は頑張れそうだ」「今年は成長できそうだ」と、子どもの自己評価が高まるようにしていくのです。お勧めは成長が感じられる学習を行うことです。
例えば、高跳びやマット運動など、1~2時間ほどで記録が伸び、上達できる内容を選びます。あるいは、最初は無理だと思えたことが、学習後にはできるようになる内容もお勧めです。具体的には、詩の暗唱や算数の難問への挑戦などがあります。さらに、個人ではなくチームで協働させることで、多くの発見がある学習もお勧めです。例えば、「何もない砂漠をリゾート地にするなら、どんな物が必要か」「1年間宇宙旅行に行くなら、何が必要か」などについて、アイデアを出し合う学習が挙げられます。
学習後には、「こんなに上達するとは思わなかった」「こんなに考えが深まるとは思わなかった」などと、子どもたちは一様に驚きます。そうして「今年は成長できそうだ」と思えてくるのです。
さて、4月には「楽しい」授業も大切になります。「楽しい」とは、知的に楽しいという意味です。頭を使って面白かったとか、気付かなかったことに気付けて驚いたとかいった授業を行うのです。
例えば、マット運動を行う場合も、知的な楽しさを加味することができます。前転のやり方を教え、前転が上手にできるようになってからこう言います。「1枚のマットで3回前転ができるでしょうか」すると子どもたちは2回が限度だと言います。そこで教師が、「少し頭を使うとできますよ」などと言います。答えは簡単です。斜めの方向に前転して進めば3回できるのです。ちょっとしたことですが頭を使います。
実は、授業の充実によって子どもの問題行動は激減していきます。これにはからくりがあります。授業が充実することで、子どもたちの自己評価が高くなります。そして、自己評価が高くなると高い目標に挑戦できるようになり、高い目標に挑戦すると成長した自分をイメージできるようになります。こうして、成長した自分のイメージに合致する行動を自然と選択するようになるのです。
例えば、100点が取れて当たり前という「成長した姿」をイメージし、そのイメージに慣れ親しんでくると、本当にイメージに合致した行動を取るようになります。宿題はやって当たり前で、自主学習までしてくるといったように行動自体が変わるのです。授業でも積極的にチームと意見を交流し、進んで協働しながら学ぶことでしょう。自分が成長した姿をイメージし、それに慣れ親しむからこそ前向きな行動が増え、問題行動が激減するというわけです。
このように、4月最初の授業は、できる・楽しい授業を行えるよう教師が十分に準備をして臨む必要があります。