第4回 押さえどころ③ 指示の明確化 空気を読む…に期待しない

第4回 押さえどころ③ 指示の明確化 空気を読む…に期待しない
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悪気はないけど、空気は読めない

 一般的にZ世代は、上司や先輩の意向をくみ取って動くことには疎い傾向があると言われています。先の回でも述べたように、この世代は縦社会の洗礼を受けていないからです。空気を読んで、自ら動くことを期待してはいけません。

 ただし、彼らに悪気はありません。だから、「こいつ空気読まれへんな」とイライラするのなら、最初から上司や先輩への気遣いはできないと考えて、行動してほしい内容を指示した方が精神衛生上良いということです。優しく指示をすればいいのです。

 ただ、指示をする際に気を付けなければいけないことがあります。例えば、参観日前日、若手教師の教室が雑然としているのを見たあなたが次のように指示をしたとします。

 「参観日の前だから、教室の気になるところはきれいにしておくといいよ」

 あなたの指示を聞いた若手教師は、取りあえずしっかりとうなずきます。当然、あなたは指示が伝わったと思うはずです。

あなたの指示が伝わらない理由

 でも、多くの場合、あなたの期待通りの結果にはなりません。ロッカーの上は若干きれいになっているようですが、黒板はチョークの粉がたまったまま、掲示物も幾つかは外れかけています。

 あなたは「せっかく優しくアドバイスしても、これかよ」と感じ、「これだから最近の若い者は…」とうまくいかなかった原因を相手のせいにしてしまいます。でも、これは若手教師が原因ではありません。もともと曖昧な指示をしたあなたがいけないのです。

 「気になるところ」とはどこのことなのかという認識が、若手教師とあなたでは違います。教師の経験値が違うので、これはある意味当然です。若手教師は、決してあなたの指示を無視したわけではありません。「これぐらい分かるだろう」という思いは横に置いて、より具体的な指示をしなければいけなかったのです。

 ちなみに、指示は次のようにするとよいでしょう。

 「参観日の前だから、黒板周りとロッカーの上は特にきれいにしておくといいよ。掲示物が剥がれかけているところがあれば、そこも直しておいてね」

 「一を聞いて十を知る」的な若手教師も中にはいますが、それはあくまでもレアケースです。生きてきた時代も教師としての経験値も違うことを踏まえた上で、指示はできる限り具体的に行うように意識してください。

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