兵庫県芦屋市立浜風小学校校長
本連載ではこれまで、Z世代の教員像や伝える際の留意点、具体的な指導内容についてお話ししてきました。ただし、ここまでの話は全て「職員室の雰囲気が悪くない」という前提条件があります。若手が管理職を避けたり、教室に閉じこもってしまったりするような状況では、指導が機能することはありません。
「教師としての経験値が違うため、指示はできる限り具体的に行うよう意識してください」という話を本連載の第4回でしました。ただ、経験や認識の違いによるズレは、指示に限ったことではありません。例えば、「褒める」という行為にも同じことが当てはまります。
本連載で以前、「自分たちの一般常識は、すでに『むかし、むかしのお話』であり、令和には令和の一般常識があるので気を付けてください」という話をしました。でも、「自分の普通」を「世間一般の普通」と思い込んでしまうことは、われわれ新人類世代だけの話ではありません。Z世代の若い先生にも同じことが言えるのです。
若手教師にとって、子どもや保護者から言われたくない言葉の一つに「先生はひいきしている」があります。具体的に、「授業の最初、机の上に教科書が出ていないので、先生に注意された。でも、辻くんも同じなのに注意されなかった。先生は辻くんをひいきしている」というようなことです。
「子どもたちの笑顔があふれるクラスをつくりたいです」このような声を若手教師からよく聞きます。では、どうしたら子どもたちを笑顔にすることができるのでしょうか。 教育アドバイザーである原坂一郎氏は、「子どもたちが先生のことを大好きならば、特に面白いことや楽しいことをしなくても、ただそばにいるだけで子どもたちは自然に笑顔になります」と言われています。
毎年行われている「理想の上司ランキング」ですが、今年も第1位は8年連続でウッチャンナンチャンの内村光良さんとアナウンサーの水卜麻美さんでした(明治安田生命保険調べ2024年)。「親しみやすい」「優しい」というイメージは、やはり若い世代に受けがいいようです。
一般的にZ世代は、上司や先輩の意向をくみ取って動くことには疎い傾向があると言われています。先の回でも述べたように、この世代は縦社会の洗礼を受けていないからです。空気を読んで、自ら動くことを期待してはいけません。ただし、彼らに悪気はありません。
昔、苦手な管理職がいました。一応、話は聞いてくれるのですが、話を聞いた後の第一声はいつも同じでした。「でもね…」まず否定語が返ってくるのです。毎回これでは、さすがに参ってしまいます。その結果、私は次第にその管理職と距離を取るようになりました。
SNSネーティブ世代であるZ世代の若者は、物心がついた頃からSNSの世界にどっぷりとはまっています。SNSの普及により、人間関係での彼らの関心の多くは、広く浅くつながった友達に注がれています。つまり、縦社会よりも横社会ということです。当然、昭和時代の縦社会の論理は分かりませんし、縦社会に対する免疫もありません。
昨年、Z世代にバズった次の言葉をご存じですか? 「蛙化現象」 「ひき肉です!」 もし、あなたが「新人類世代」にもかかわらず、2つとも知っていたら大したものです。最先端の流行語を知っているのですから、そのアンテナの高さはまさに恐れ入谷の鬼子母神レベルです。 かく言う私も、実は聞きかじり程度の認識で詳しいことは分かっていません。
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