全10回の連載を通じて、教師の日々の業務負担を軽減する生成AIの活用法についてご紹介してきました。生成AIが大きな話題になってから約1年が経過しようとしています。この間、特に企業での生成AIの活用が目覚ましく進んでいます。AI技術を用いてカスタマーセンターの対応を自動化したり、従業員に代わって特定の業務プロセスを効率化したりする例は、今や一般的な取り組みとなっています。
一方で、学校でのAIの活用は、まだほとんど広がっていないと言えます。その背景には、学校が個人情報の取り扱いやセキュリティーに非常に敏感であり、「AIを使用することへの懸念」を持つ先生が多いことが挙げられます。
しかし、果たしてこのままでよいのでしょうか。最近、うつ病などの精神的な疾患により休職する教職員の数が過去最多を記録したというニュースがありました。私自身も、若手教師時代に仕事を抱え込み過ぎて心を病んだ経験があります。「あの時、AIがあったら…」と強く感じています。
教材研究にもっと時間を割きたい、子どもたちと直接関わる時間を増やしたいと願う教師は多いはずです。しかし、それを阻むのが絶え間なく増え続ける校務の負担です。AIの導入による校務の効率化は、教育者が直面するそうした課題の解決策となり得ます。
今、私たちが毎日接している子どもたちは将来、AIを当たり前に使う世の中で生きていきます。その世界を生きる子どもたちを育てるためにも、まずは私たちがAIに触れて、「AIとはどのようなものなのか」「どういったことに使えるのか」「どんな危険性があるのか」を体感することが不可欠です。
教育現場をより働きやすい職場にしていくため、そして未来の日本・世界を支える子どもたちを育むためにも、より多くの先生方がまずは生成AIに触れてみることが大切です。ぜひ、本連載でご紹介してきた活用法を試してみてください。
私の拙著『子どもの力とAIで1.5馬力学級経営』(学陽書房、2024年4月出版予定)では、子どもの力を借りた学級経営の方法や、教育現場でのAIの活用例を紹介しています。AIの導入が教育現場にもたらすメリットを最大限に生かし、新しい時代の教育者としての在り方を模索するための一助となれば幸いです。(おわり)
※本連載でご紹介している情報や活用法は2024年2月現在のものです。