第5回 支援ニーズと相談相手

第5回 支援ニーズと相談相手
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 不登校の子どもたちは、どんな支援を求めているのであろうか。文部科学省「令和2(2020)年度不登校児童生徒の実態調査」によると、例えば「休みたいと感じ始めてから実際に休み始めるまでの間に、どのようなことがあれば休まなかったと思うか」の質問に対し、中学2年生の不登校経験者の回答で一番多かったのは「学校の友達からの声かけ」(17.4%)であり、「個別で勉強を教えてもらえること」(9.1%)が続く。ところが、それらよりも多かったのが「特になし」の56.8%であり、半数を超える子どもたちが支援ニーズはないと回答していることが分かる。

 支援ニーズがないというのは、どういう意味があるのだろうか。「どんな支援があるのか分からない」という思いなのかもしれないし、「たとえ支援してもらっても登校できる自信がない」という思いから、積極的に支援を求めていないのかもしれない。

 他方、不登校の子どもたちは、自分と向き合い悶々と悩みを抱えることが多い。そうした苦しい胸の内を誰に理解をしてもらうのであろうか。NPO多様な学びプロジェクトが不登校当事者(子どもや保護者)を対象に調査した「当事者実態ニーズ全国調査」の結果を見ると、学校に行きづらかった時に理解してくれる人はいたかという問いに対し、多かった回答は「母親」が40.3%、次いで「友人・知人」が20.0%、3位が「父親」の19.0%であった。学校関係では「学校の先生」が14.4%、「保健室の先生・別室の先生」が14.2%であるのに対し、「スクールカウンセラー(SC)・スクールソーシャルワーカー(SSW)」は6.3%と低い。

 この点については、SCやSSWに対し「聴くだけで情報が欲しい」という意見も見られ、今後に向けて改善の余地はあると言える。これらに対し、「電話相談やSNS等でつながっているが直接会ったことがない人」を選択した比率が11.1%と高めであった。これは昨今のインターネットの普及により、SNSによる相談や対話が子どもたちの世界でも頻繁に行われていることを示しており、今後もソーシャルメディアを活用した支援方法を工夫することの必要性を示唆する結果である。

 その一方で、「誰もいなかった」を選択した割合も28.9%に上っている。3割近い子どもたちが、誰にも理解されていないと感じているという現状は、今後の不登校支援を考える上でも大きな課題である。

 子どもたちに、困った時に誰かに相談する(SOSを出す)方法を伝えることも大切であるし、実際の相談につなげるために、優しく背中を押す人の存在も大切であろう。不登校の子どもを孤立させない居場所づくりや、その居場所につなげる方策が喫緊の課題だと言える。

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