第7回 心得③ 伸びたか伸びていないかで子どもを見る

第7回 心得③ 伸びたか伸びていないかで子どもを見る
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「先生はひいきしている」と言われないために

 若手教師にとって、子どもや保護者から言われたくない言葉の一つに「先生はひいきしている」があります。具体的に、「授業の最初、机の上に教科書が出ていないので、先生に注意された。でも、辻くんも同じなのに注意されなかった。先生は辻くんをひいきしている」というようなことです。

 もちろん、本当に特定の子をひいきしているのなら、それは改めなければいけません。ただ多くの場合、「前年度は教室に入れなかった辻くんが、頑張って登校して来たから…」というような教師なりの理由があります。でも、子どもたちにそのような配慮は分かりません。だから、「あの子に甘い。ひいきしている」となるのです。そのため、誰にでも分かる教師の基準を子どもたちに示す必要があります。

 その基準が「心得③ 伸びたか・伸びていないかで子どもを見る」です。「できたか・できていないか」という観点で見るから、できていない辻くんをスルーしていることが「辻くんをひいきしている」につながるのです。「伸びたか・伸びていないか」という観点で見れば、辻くんが前年度より頑張っていることはクラスメートなら分かります。そのため、「辻くんをひいきしている」にはなりません。

「できたか」よりも「伸びたか」

 そして、この心得③は、子どもたちへの説得に有効なだけではありません。教師自身が「できたか・できていないか」にとらわれることがなくなると、目先の結果にこだわることがなくなります。その結果、余裕を持って子どもたちの成長を見守ることができるようになるのです。できないことへのイライラがなくなり、上機嫌な教師でいることができます。

 また、教師が「伸びたか・伸びていないか」にこだわり続けていると、子どもたちも友達のことをこの観点で見るようになってきます。実際に以前、漢字テストで90点だった子が70点の子に対して、振り返りで「上村くんは最近漢字を頑張っている。自分は最近ミスが多いので、頑張らないといけない」と書いてきたことがありました。「伸びたか・伸びていないか」にこだわることで、その場の結果に一喜一憂することなく友達の成長を喜び、自分自身を省みる子が育つのです。

 教師の意識を変えるだけで、全てがうまく回り始めます。

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