前回、自己決定を促す質問を子どもたちに投げ掛けようという話を書きました。子どもたちの反応はどうだったでしょうか。基本的に子どもも大人も自分のことは自分で決めたいという本能をもっています。今までの経験の中で、自分で決めたことで大失敗をしたり怒られたりすると、人に決めてほしいと言う子も中にはいますが、自分で決めて実行していくのは本来、とても楽しいことのはずです。例えば、今後外食するときは必ず「カレー→ラーメン→うどん→牛丼」という順番で行かなければならないと決められたら、逃げ出したくなると思います。
クラス会議で最初に行うことは「椅子だけで輪になって座る」です。クラス全員で机を外に運び出し、一つの輪になって座ります。これだけのことでも、最初はかなり時間がかかります。下手をすると10分たっても座れないようなこともあります。でも、ここでくじけるのではなく、やったことがないからできないのだと捉えることが重要になってきます。
あまりに時間がかかる場合は、最初の議題を「どうしたら早くきれいな丸がつくれるか」について話し合うことをお勧めします。
実際にこれを議題にすると
○声を掛け合う
○力の強い人が机を運ぶ
○2人で協力して机を動かす
○用のない人は話さない
○空いている所を見つけて座る
などの意見が出てきます。これを黒板に先生が書きます。これをもとにもう一度机を最初の形に戻して、みんなで協力して早くきれいな丸をつくって座れるように練習するのです。
1回目もどのくらいの時間で丸くなれるかを計っておき、話し合いを経て2回目のチャレンジをします。すると必ず時間が短くなります。短くなったときに全員で喜べると思うので、給食の前に牛乳で乾杯するのもありです。
問題をみんなで共有する→解決策を話し合う→どれに取り組むか決める→実行する→解決する(時間が短くなる)を経験することで、みんなで話し合って決めて実行することの良さを味わうことができます。これがクラス会議の始まりです。
もちろん椅子を運ばない子や勝手なことをする子も中にはいます。クラス会議をすればいきなり全てがうまくいくわけではありません。でも、一生懸命声を掛けている子、友達の机を運んでいる子など、みんなのために動いてくれる子もいます。そういった子を見つけて、全体へフィードバックをするのです。
すると望ましい行動が増えます。これはポジティブ行動支援の考え方です。クラスに向けて「駄目出し」をするのではなく、「ヨイ出し」を行いながらポジティブな行動を増やしていきましょう。
【クラス会議成立までのスモールステップ】
その4 椅子だけで輪になって座る。子どもたちの良い姿を見つけてフィードバックをする。