第7回 学びの多様化学校

第7回 学びの多様化学校
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 文部科学省は2005年に学校教育法施行規則を改正し、不登校児童生徒を対象に特別な教育課程編成ができる「不登校特例校」を創設した。不登校の経験がある児童生徒が在籍し、学習指導要領に縛られない教育活動が可能とされ、23年8月現在、全国に24校ある。しかし、「名称がマイナスの印象を与える」などの意見もあり、全国に新名称を呼び掛け、23年8月からは「学びの多様化学校」という呼称に変更された。

 「確保法」とともに注目されてきたフリースクールとは異なり、学びの多様化学校はその名の通り「学校」である。不登校児童生徒が学びの多様化学校に通うことを希望すれば、原籍校からの転校となり、卒業時には卒業証書を受け取ることになる。

 学びの多様化学校では、不登校の子どもたちのためにさまざまな工夫がなされている。特別の教育課程を実施するには、不登校児童生徒の個々の実態に配慮し、学習状況に合わせた少人数指導や習熟度別指導、実態に即した支援(家庭訪問や保護者への支援など)、学校外の学習プログラムの積極的な活用など、指導上の工夫が望ましいとされている(文科省「不登校児童生徒の実態に配慮して特別に編成された教育課程に基づく教育を行う学校の概要」より)。

 具体的には、例えば1クラスあたりの児童生徒数も、数人~30人未満と、通常の学校に比べると少人数で構成できる。他方、学校であるため、教科指導の教員数が少ないわけではない。加えて心理相談員やサポートスタッフなどが在籍している学校も多く、手厚い配慮やサポートを受けられるというメリットがある。

 授業時間については、通常の学校に比べて柔軟に組むことが許されており、教科指導よりも、不登校の子どもたちに必要な独自の授業を重視する学校も少なくない。例えば、総合的な学習の時間や創造活動、ソーシャルスキルトレーニングを組み込んだ授業、自分の将来を考えるキャリア教育、パソコン教育や社会見学など、不登校の子どもたちがこれからの社会で生きていく力を付けるためのプログラムが用意されている。

 その半面、まだ数が少ないため、どの地域にもあるわけではなく、希望者が殺到して入学希望者を選抜しなければならないという課題もある。今後は学びの多様化学校の数を増やすだけでなく、学びの機会の確保に向けていろいろな取り組みが工夫されることも喫緊の課題だと言える。

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