第10回 職員室をいい雰囲気にするために

第10回 職員室をいい雰囲気にするために
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 本連載ではこれまで、Z世代の教員像や伝える際の留意点、具体的な指導内容についてお話ししてきました。ただし、ここまでの話は全て「職員室の雰囲気が悪くない」という前提条件があります。若手が管理職を避けたり、教室に閉じこもってしまったりするような状況では、指導が機能することはありません。

 そこで最終回となる今回は、教職員とのつながりを深め、職員室の雰囲気を良くするために、私が意識して取り組んでいることをお話しします。

「意味のない会話」の勧め

 担任時代、ある保護者から「反抗期を迎えたわが子にどう接したらいいか分からない」という相談を受けたことがあります。この時、私がお話ししたのが、「意味のない会話」の勧めです。「意味のない会話」とは、「してもしなくてもいいような、何の目的もない会話」のことを言います。部活帰りのだべり、井戸端会議や居酒屋でのばか話などが、まさに「意味のない会話」になります。実際、多くの人が、このような体験を通じてお互いの仲を深めた経験があると思います。「晩ご飯は何がいい?」などのような会話では、いくら回数を重ねても距離が縮まることはありません。

 同じことは、担任とクラスの子ども、管理職と教職員との間にも言えます。特に校長が話をする時は、要件や目的ありきの会話になりがちです。だからこそ、私は普段から「意味のない会話」を意識的にするようにしています。

最後のピースは、校長自身

 子どもにとって幸せな家庭というのは、裕福な家庭でも親が高学歴な家庭でもなく、親の機嫌が安定的に良い状態の家だという話を聞いたことがあります。実は、学校も同じです。管理職2人の機嫌が安定的に良い状態だと、教員も幸せな学校だと感じるようになります。つまり、校長が「意味のない会話」を一番意識すべき相手は、教頭だということです。

 そして、それ以上に重要なことは校長自身が常に上機嫌でいることです。まず、自分自身が日々の生活を楽しんでください。笑顔の教師が笑顔の子どもを育てるように、笑顔の校長が笑顔の教師を育てるのです。

 第9回で「子どもたちの小さながんばりを見つけて褒めてください」という話をしましたが、自分自身を楽しませるコツもそれと同じです。自分の周りにある小さな幸せを見つけて、そのことを楽しめばいいのです。いつも上機嫌でいることで、周りにプラスのオーラが拡散し、職員室の雰囲気は確実に良くなります。ご機嫌な校長の存在は、Z世代の若手教師だけでなく、学校全体をバージョンアップするための絶対条件なのです。

 最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。これからも共に笑顔でがんばりましょう。(おわり)

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