【部活動改革】「遅れている自治体は計画的に進めて」 盛山文科相

【部活動改革】「遅れている自治体は計画的に進めて」 盛山文科相
記者会見で質問に答える盛山文科相=撮影:大久保昂
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 少子化による部活動の減少や教員の長時間労働といった課題に対応するため、文部科学省は2023~25年度を部活動の「地域移行」などの改革に集中的に取り組む「改革推進期間」と位置付けている。取り組みがスタートして1年が経過した現状について、盛山正仁文科相は4月5日の閣議後記者会見で、改革に向けた体制整備に地域差があることを認めつつ、「(取り組みが)ある程度進んでいけば、『うちは遅れている』ということにもなる。周りを見ながら進めていっていただけるのではないか」と今後の進捗(しんちょく)への期待感を示した。

 地域移行の狙いは、少子化によって学校単位で部活動を維持することが難しくなってきている中、部活動に代わって文化・スポーツ活動に親しめる場を整備するとともに、教員を部活動指導から解放して長時間労働を解消していくことにある。スポーツ庁と文化庁が22年12月にまとめたガイドラインでは、望ましい進め方として、①地域移行の狙いや効果、スケジュールなどを明記した推進計画などを策定する②首長部局や教育委員会、地域のスポーツ・文化芸術団体、保護者などでつくる協議会を設置し、部活動に代わる受け皿などを検討しながら実行に移していく――ことが示されている。

 ただ、こうした取り組みの進み具合には地域差があることが明らかとなっている。スポーツ庁が23年6~7月、全ての都道府県と市区町村を対象として計画の策定状況や協議会の設置状況を尋ねたところ、いずれも23年度末までに整備予定(整備済み含む)の自治体は、1452自治体のうち664自治体(45.7%)にとどまった。どちらか一方を整備予定の自治体は404自治体(27.8%)、23年度中にいずれも整備予定がないところも379自治体(26.1%)、その他(無回答など)も5自治体(0.3%)あった。

 こうした現状を受け、盛山文科相は4月5日の記者会見で「各自治体が協議会の設置や推進計画の策定などを通じ、部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行を計画的に進めることが大事だ。その趣旨を理解してやっていただきたい」と未整備の自治体に体制整備を促した。自治体の担当者が集まる会議などで計画の策定や協議会の設置を働き掛けてきたことも強調し、「地域の実情に応じた持続可能で多様なスポーツ環境の整備を進めていきたい」と述べた。

記者懇談会で部活動改革の進捗状況を説明する室伏長官=撮影:大久保昂
記者懇談会で部活動改革の進捗状況を説明する室伏長官=撮影:大久保昂

 一方、スポーツ庁の室伏広治長官も同日の記者懇談会で、一部の自治体で取り組みが遅れていることに対し、「改革がなぜ必要なのかということを丁寧に説明していく。子どもたちが『これまでなかった体験ができて楽しい』という成功事例が出てくれば、それが後押しになるのではないか」と語った。その上で「中学校だけではなく、地域スポーツの充実によって長くスポーツに親しんでもらえる環境を整え、学校からスポーツを開放していく。自治体の意向も踏まえ、改革推進期間後も見据えて課題の整理や解決策の検討を着実に進めていきたい」と部活動改革に改めて意欲を示した。

 
 

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