今回は少し視点を変えて、職員室でクラス会議に取り組む意義について述べたいと思います。私は教員研修・企業研修などでクラス会議を紹介する機会が年に30回ほどあります。その中で強く感じていること、それは今の職員室に圧倒的に対話が足りないということです。
働き方改革、パワハラ・セクハラ問題、教員不足、コロナ禍などを経て、今まで職員室で当たり前になされていた対話や相談の時間が極端に減っているという話が、全国各地から聞こえてきます。今まではちょっとした時間に、相談をしたり雑談をしたりする時間がありました。夕方の職員室ではコーヒーを片手に、ちょっとした話題で盛り上がることもありました。しかしながら、昨今は働き方改革が叫ばれ、「早く帰りましょう」の大合唱(もちろん早く帰ることを否定しているのではないのでご承知おきください)です。そうなると、忙しそうに働いている主任の先生に若手の先生が相談できないのは目に見えています。
教務主任や教頭先生に相談しようとも、今は教員不足が深刻で教務や教頭が担任を持っているという話も聞きます。つまり、以前は相談役となっていた管理職や教務主任の先生がプレーヤーとして動き回っているのです。これでは若手の先生がさらに声を掛けづらくなります。
一方、中堅・ベテランの先生の言い分にも耳を傾けてみます。私は今、43歳です。例えば、学年主任をしていたとします。初任の女性の先生が教室で困っていたら、昔なら「どうしたの?」と声を掛けることができていました。でも、これだけ「ハラスメントに気を付けましょう」と言われると、気軽に声を掛けづらくなります。教室で一対一になるのはできるだけ避けようと思う気持ちも理解できます。昔とは違い、お互いに一歩踏み込みづらくなっているのです。
それらを一手に解消するのが、職員室でのクラス会議です。クラス会議を用いることで気軽に相談できる時間と場所を確保できます。加えて一対一ではなく複数人で話をするので、上記のようなリスクも回避できます。さらには、前回述べた対等感や自己肯定感、他者貢献感を育むことができるので、職員室にいる先生方が生き生きと働けるようになります。困っている事を共有する時間を取れるので、一見時間はかかるように思えますが、結果的にどのクラスも落ち着いていき、働く時間が短くなっていきます。実際にクラス会議を取り入れた学校の先生からは「帰るのが早くなった」という声が届いています。働き方改革の文脈で、名古屋市からは数校で研修を依頼されています。
ぜひ、職員室でのクラス会議にも挑戦して、楽しそうに子どもたちの前に立つ先生たちを増やしてください。
【クラス会議成立までのスモールステップ】
その8 職員室でクラス会議に取り組んでみよう。いきなり全員でなくても、学年ごとや有志の先生たちで夕方お菓子を囲みながら対話をしてみよう。