新年度になり企業の入社式の様子が伝えられると同時に、就職後、数日で退社する若者も報道されていた。退社理由はさまざまだが、「自分には合わない」と話す若者もいたのが印象的だった。わずか数日で、仕事や職場が自分に合わないと分かるのかと疑問に思いつつ、「そんなものか」とも思った。
今年度、教職に就いた皆さんには、ぜひ、教師という仕事をじっくりと味わってほしい。はっきり言って、この仕事は生易しいものではない。まず、関わる人が多過ぎる。指導する子供、その後ろにいる保護者、学校の教職員、地域の人々。場合によっては教委の職員も。数えれば100人以上になる。こんな人数を相手にする仕事だから最初からうまくいくはずはない。
周りは自分を「先生」と呼び、うまくできることを期待する。このプレッシャーは並大抵ではなく、押し潰されそうになる思いはよく分かる。しかし、関わる人が多いということは、それだけ味方もいるということだ。苦しかったら遠慮なく助けを求めよう。きっと誰かが手を差し伸べてくれるはずだ。
昭和の爆笑王と言われた落語家の故林家三平師匠は「笑わせる腕になるまで泣く修行」という言葉を残している。「昭和かよ!」と言われると思うが、教師は専門職だ。昭和であろうと令和であろうと時代に関係なく、時間をかけてじっくりと取り組まないと見えてこないものがある。
苦しかったら助けてもらいながら、必要なら休んでもよい。しかし、続けていくことが大切だ。きっと「続けてよかった」と思える瞬間があるはずだ。