第8回 提出物が出せないのはなぜ?(前編)

第8回 提出物が出せないのはなぜ?(前編)
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 学校で提出物がいつも遅れてしまう子どもはいないでしょうか。今回は、そうした子の背景で何が起きていて、どのように対策をしたらよいかを紹介します。

 カウンセリングで提出物が出せない子どもの相談を受けるとき、私がまず行うことは「動線」を以下の5つに分けて確認することです。家庭で記入して学校に提出する必要のある書類の場合、

①学校で、子どもが書類をかばんに入れる

②帰宅後、子どもが保護者に書類を渡す。

③保護者が記入して子どもに渡す。

④子どもが書類をかばんに入れて学校に持っていく。

⑤学校で、かばんから書類を取り出して先生に提出する。

 といった流れになります。「ずいぶん細かいステップに分けるものだな」と思われたかもしれませんが、どこでつまずいているかを明確にして、子ども本人に自覚させるにはとても便利なものです。

 ③の保護者のターンはできるものとして、①②と④が実際どのようになっているのか、子どもに聞いていきます。中学生ぐらいでも、実演してもらうのが一番です。「実際にいつもどんなふうにしてるか、やってみて」と言うのです。すると対策が具体的に打てます。

 ①では、書類が机の引き出しに残ったままとか、かばんに入れようとして床に落としてしまったとか、隣の席にまで持ち物がはみ出してしまって他の子どもの持ち物に紛れ込んでしまったとかいったことが考えられるでしょう。この場合は書類を入れるためのファスナー付きファイルを用意し、「もらった書類はすぐにそれに入れる」という約束をすれば大丈夫です。また、引き出しに残ったままにするのを防ぐために、慣れるまでは「かばんにしまうものチェックリスト」を付箋で作ります。「□教科書□給食セット□書類ファイル」などと記載した一覧表です。子どもはかばんにそれらのものを入れながらチェックを付けます。このチェックリストを帰宅して保護者に手渡せばおやつと交換できるなどの仕組みをつくります。

 ②では、子どもが学校から帰ってきてかばんをリビングの床に投げ捨て、制服のままゲームを開始するようなことがあります。かばんの中のプリントを取り出すということが翌朝の時間割準備の時まで忘れられていたり、他のものに紛れてかばんの隅で地層になっていたりします。その場合には、「アラーム作戦」が最も効果的です。例えば、夕ご飯を家族そろって食べる19時ごろにアラームをセットしておきます。すると家族の誰かが「あれ?何のアラームだっけ?」と言い、子どもが「あ、書類を出す時間だ」と気付いて保護者に手渡すことができます。

 長くなりましたので、④以降の話は次回に続きます。

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