質の高い教育の実現に向け、教員の負担軽減や待遇改善を求めている自民党の特命委員会(委員長・渡海紀三朗政調会長)は5月24日、2025年度の予算編成に向けた緊急決議を岸田文雄首相に提出した。産休を取得した教員などの代役を配置することができない「教員不足」について、「喫緊の課題」と指摘。質の高い教員を確保していくため、月給に上乗せする形で公立校の教員に支給される「教職調整額」を引き上げることも含め、同党や中教審が求めている対策を「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針2024)に明記するよう求めた。
緊急決議は、23日の政調審議会で取りまとめられた。昨年5月に特命委が出した提言や、中教審が今月13日に提示した審議まとめに沿った内容となっており、①「働き方改革」の加速②教員の待遇改善③学校の指導・運営体制の充実④教員の育成支援――という4つの取り組みを一体的に推進することを提案している。特に②の待遇改善については、「不退転の決意」で進めるよう求めた。
具体的な待遇改善策としては、教職調整額の水準を月給の4%から同10%以上に引き上げるとともに、新たな職階や級を創設したり、学級担任に手当を加算したりするなど、職務の重要性や業務負担に応じて待遇を引き上げるべきだとした。
①の「働き方改革」の観点では、学校における働き方改革の取り組み状況を可視化し、学校や教員が担う業務の見直しも進めるよう要求。③の指導・運営体制の充実に向けては、不登校の児童生徒を手厚く支援したり、小学校段階での教科担任制を拡大したりするため、教職員定数を増やす必要性を訴えている。