日本中学校体育連盟(中体連)が動いた。全国中学校体育大会(全中)の規模縮小である。8競技が2026年度で取りやめとなる。連盟内にプロジェクトチームを設け3年以上かけ協議・検討した結果だ。
全中は、中学校教育の一環として中学生に広くスポーツ実践の機会を与え心身ともに健康な中学生を育成するなどの目的で1979年、当時の文部省の通知により始められた。わが国のスポーツ界に多大な貢献をしてきたと言えよう。
ところで、生徒を引率する以外、教員が全中においてどのような仕事をしているのか知る人は少ないだろう。まずは競技審判である。もちろん誰でもよいというわけではなく、経験と実績を積んだ教員が選ばれる。バレーボールのように講習を受け審判員の資格を取得しなければならないケースもある。講習会の参加費用はほとんどが自腹である。このほか会場設営・整備、試合の運営、会計、中には会場の駐車場誘導係といった仕事もある。全てボランティアである。
こうした実態を国も社会もそのままにし、今日まで中体連は全中を運営してきたのである。将来、全中に代わる総合体育大会を実施するのか、競技別の全国大会にするのか、部活動を中学校からなくし地域移行とする構想を打ち出したスポーツ庁と地域のスポーツ関係者の意見をぜひ聞かせてもらいたいものである。
さらに言えば、国民体育大会も同様な問題として捉え、わが国のスポーツ政策としてスポーツ庁が本腰を入れ考えていく問題であろう。中体連だけに考えさせる問題ではない。