【教採キーワード―調べ確認してみよう(6)】学校規模、通学距離、学級編制、教職員定数

【教採キーワード―調べ確認してみよう(6)】学校規模、通学距離、学級編制、教職員定数
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学校規模、通学距離

 少子化の進行の著しい地域の小学校や中学校では、学校規模が小さくなり、学校生活にさまざまな影響がもたらされる。

 例えば、クラス替えができない、集団行事の実施に制約が出る、授業で多様な考えを出しにくい、部活動の種類が限定されるなどが挙げられる。その結果、児童生徒の社会性や多様なものの見方や考え方に触れる機会が少なくなるなどの影響が懸念される。これらの課題を解決するために、学校の適正規模を確保するために、地域の事情や児童生徒の通学方法等にも考慮しながら学校の統合を進める自治体が見られる。一方、大都市部では、大規模集合住宅の建設のため、学校規模が大きくなり過ぎて、通学区域を見直す自治体も見られる。

 このような適正規模・適正配置を検討する際の、「適正」について法令ではどのように定めているのであろうか。学校教育法施行規則第41条では、「小学校の学級数は、12学級以上18学級以下を標準とする。ただし、地域の実態その他により特別の事情のあるときは、この限りでない」とし、第79条で中学校にも準用するとしている。

 ここでは「標準」としているのに対して、義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律施行令では、同じ学級数を「適正」としている。この法律施行令では続いて通学距離の規定を設けている。「通学距離が、小学校にあってはおおむね4キロメートル以内、中学校及び義務教育学校にあってはおおむね6キロメートル以内であること」としている。通学距離の規定は、どの位置に学校を設置するかという学校配置と通学区域の設定に密接に関わっている。

学級編制、教職員定数

 学校規模は学級の総数によって示されるが、それでは1学級の児童生徒数はどのように定められているのであろうか。公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の第3条では、小学校の同学年で編制する学級の児童数は35人を、中学校では40人を標準としている。この法律は2021年に改正され、それまでは小学校1学年のみが35人学級だったものを、全学年に拡大することとなった。ただし、学年進行で実施され、24年度は5学年まで、25年度に6学年までとなり全学年が35人学級になる。

 この改正の背景には、Society5・0時代の到来やGIGAスクール構想によるICTなどを活用した個別最適な学びと協働的な学びの実現といった事態がある。

 一方、学校への教職員の配置は学校の学級数に一定の係数を乗じることによって算定される。校長は1校1人であるが、副校長や教頭、教諭の定数は例えば、小学校12学級の場合は、12に1.210を乗じて計算される。中学校12学級の場合は、12に1.570を乗じることとされている。この数に学校規模などの状況によって追加される仕組みとなっている。

 これらの法令に定める学級編制および教職員定数の標準に基づいて、都道府県ごとに学級編制基準および教職員の配当基準が設定される。

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