直前対策――圧迫面接への対応 常に前向きな姿勢でストレス耐性を示そう

直前対策――圧迫面接への対応 常に前向きな姿勢でストレス耐性を示そう
iStock.com/PonyWang
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 文部科学省の要請などもあり、今夏の教員採用試験においては1次試験を6月に前倒しで実施する自治体も少なくなかった。2次試験は7月に実施ということになり、従前より早めに山場を迎えようとしている。2次は面接が中心となる自治体が多いので、ここでは多くの志望者が嫌がる圧迫面接を軸に面接対策を取り上げよう。

面接はプラス思考で

 まず、前提として面接では、プレッシャーを克服するため、プラス思考になるよう発想を転換しよう。面接は、自分の良さや、自分がいかに教師に向いているかをアピールするチャンスであると考える。自分の良さはここだ、と自信を持って面接に臨みたい。そのために面接の事前対策では、回答を頭の中で考えるだけではなく実際に声に出して回答する練習をするとよい。

 試験当日の朝も、一度しっかりと声を出しておこう。ニュースサイトなどで当日のニュースを探り、それを声に出して読んでみるとよいだろう。

ストレス耐性をみるために

 それでは、圧迫面接とはどのようなものだろうか。わざと、高圧的な言い方などで気分を逆なでするような質問をしたり、回答に対して揚げ足を取るような掘り下げ方をしたりする面接の手法の一つである。「どのような状況であっても平静さを失わず対応できる人物かを判断する」ために行われる。基本的には、主に次の4つを見極めるためである。

 ・ストレス耐性

 ・柔軟性

 ・とっさの判断力

 ・コミュニケーション能力

否定的な言い方などで追い詰める

 具体的には受験者の回答に対し、「なぜ」「どうして」「それで」など否定的な言い方を繰り返す。または、「受験者の話を無視する」「回答に対し、細かく揚げ足を取る」などをして、受験者を追い詰める。受験者が自分の回答に自信がなくなりかけて弱気になった時に、さらに気持ちを逆なでするような質問をしてくるケースも多い。

 面接官から投げ掛けられる代表的な言葉は次の通り。

 ▽「そんな考えは現場で通用しない」=だめではないのにだめだと言う。

 ▽「何を言っているか分からないよ。勉強が足りないようだね」=分かっているのに、分かっていないふりをする。

 ▽「その程度のことは誰でもできるよ」=回答に関して揚げ足を取る。

 ▽「君は教師に向いていないよ」=一方的な決め付けをする。

 ▽(臨採経験者に)「そんなことでよく担任が務まったね」=職責、資質を問う。

 ▽「もし不合格になったら、どうしますか」=受験者が恐れることを言う。

常に前向きに回答

 圧迫面接が行われるケースは、主に次の2つ。

 1つは、受験者の対応力を見るため、面接官があえて圧迫面接をする場合。

 もう1つは、受験者の回答が不十分で、面接官が追加質問を繰り返したところ、結果的に圧迫面接になっていた場合。

 どちらの場合も、基本は、「明るく元気よく、臆することなく毅然と堂々と応答する」ことが大切だ。それぞれのケースについて、少し掘り下げてみよう。

 まず、1つ目の場合。

 面接官の多くは、現職の校長である。評価をするポイントは、自分と同じ職場で働ける人物かどうかだ。教室で子供たちにしっかりと指導ができるか、職員室で他の教職員たちと協調して働けるか、保護者とはうまくやっていけるかなど、具体的に想像して評価する。すぐにうろたえて何も言えなくなってしまう教員では不安である。また、強気で反論したり、自信過剰な発言をしたりする教師も困る。意見を伝えに来た保護者とけんかをされてはかなわない。

 教師は、さまざまな場面で、子供、保護者、地域住民からクレームを言われたり、提案をされたりする。面接では、困難な場面に遭遇したときの対応の仕方や態度を見て、耐性、根性があるかを判断している。受験者は、内容よりも態度を見られているので、動揺して焦らないことが大事だ。「面接官は意図的に圧迫しているのだ」と、冷静に対処しよう。

 もし面接官に厳しいことを言われても、元気よく前向きに回答をする。堂々としつつも、自分を過信するような態度や発言は禁物だ。

熱意を十分に伝える努力を

 次に、2つ目の場合。

 これは、受験者が面接官に対して、自分の思いや考えを十分に伝えられなかったときに起こる。

 不十分な回答や、矛盾した回答があれば、面接官からそれを厳しく指摘され、より詳しい説明を要求される。当然の流れなのだが、畳み掛けるように追加質問をされると、結果的に受験者は圧迫面接だと感じてしまう。

 このケースに関しては、徹底した準備と練習による対策が可能だ。

 まずは、「自分の考えの軸を明確にする」こと。これが最も重要だ。

 自分の思いや考えに軸がないと、面接官から予想外の追加質問があったときに対応できない。そして、すぐに自分の話のベースが崩れてしまい、面接官からさらなる追加質問を受け、追い詰められることになる。それを防ぐためには、自分の思いをはっきりと自覚し、考えの軸を明確にさせ、とにかく真摯(しんし)に答えることだ。

 面接官は、受験者の思いが感じられないときや、話がぶれたり、矛盾したりして納得できないときに質問攻めをする。受験者は、面接官に自分の思いや考えを確実に伝えようとする気持ちと、適切な表現力が求められる。2次選考まで、あまり時間はないが、いま一度自分の表現が十分かを見直してほしい。

圧迫は期待の表れ

 圧迫面接をされることを前向きに捉えてみよう。教採試験を受けるのだから基礎学力を備えているのは当たり前。大事なのは人間的な魅力、現場で通用する人間性だ。面接官は、最初の質疑応答でどのような人物かをおおむね把握できる。少しでも見どころがあると思わなければ、圧迫面接には至らない。問題外であれば、圧迫するまでもなく面接は終わる。

 圧迫面接をされるのは、面接官がその受験者に期待をしている証拠ともいえる。

 まずは、感情を抑え、質問を冷静に受け止めること。面接官の誘導にのって気持ちを高ぶらせてはならない。上手に対応してプラスにもっていきたい。

 実際に選考で圧迫面接に至るかどうかは分からないが、想定して練習をしておくべきである。厳しい面接官に立ち向かうためではない。指摘をされたり、質問攻めにされたりしてもぶれない、自分の確固とした思いを確認するためだ。

 圧迫面接の練習をすることで、自分の主張の曖昧な部分や、根拠のない部分に気付くことになる。本番までに、その曖昧な部分をなくし、自分の思いや考えの軸をはっきりと自覚しよう。そして、確実に表現できるように準備しよう。

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