第4回 次のライフステージ支援に向けて② 学童・青年期

第4回 次のライフステージ支援に向けて② 学童・青年期
【協賛企画】
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c.学齢期・思春期

 高齢者の医療的ケアと異なり、小児の医療的ケアは成長に伴い終了する場合がある。しかし、医療的ケアを卒業しても、日常的な観察やケアの必要性は続く。

 Aさんは、小さい頃からリハビリを重ねて、学齢期に歩けるようになったことでサポート資源が少なくなったと語っている。また、Bさんは経管栄養チューブが外れて口から食べられるようになったが、急なてんかん発作のリスクは変わらず、利用できる社会資源が狭まったと語っている。これらは医療的ケアの有無だけで、必要なケアレベルを判断できないことを示している。学齢期の医療的ケア児は学校生活が中心になり、家族以外のケアを受ける力を子どもが育む時期である。また、子ども自身のセルフケア能力を育成することも求められる。

 思春期は、身体的な成長や第二次性徴に伴う変化、運動・摂食機能の低下や退行、呼吸障害や全身状態の悪化など、心身の変化を来しやすい時期である。これに伴い、ケアやサービスの見直しや新たな医療の導入が必要なこともあり、子どもへの継続した関わりの中から問題や変化を見逃さないようにすることが求められる。

 また、思春期を迎え、日々の生活の中で子どもの心の成長を実感することが多い反面、慣れていない人と接すると呼吸しなくなったり緊張が強くなったりすることも多く、親は周囲の関わりについて子どもが受け入れられる刺激かどうか判断する必要がある。

d.青年期・成人期以降

 生活習慣病や悪性疾患への罹患(りかん)や心身の変調などが生じる場合もあり、成人期への移行支援として異常の早期発見と新たな医療機関との連携が必要になってくる。障がいのある子どもは、環境の変化や家族・施設スタッフとの分離、ケアの方法などに順応するのが難しい場合が多く、ストレスの軽減を図る配慮が求められる。親は、体格が大きくなってきた子どもの入浴、排せつ、移動が困難になるため、子どもの状態と家族のケア力を把握して必要なサービスなどの再評価を行い、関係者で共通理解を図ることが大切である。

 この時期は保護者心理への特別な支えが必要で、これまでの子育ての営みを周りの人が肯定的・共感的に見る態度により、子どもの自立に向けたエネルギーが親に生まれる。子どもの変化や成長に対し、家族は「できていたことができなくなったのは、自分のせいではないか」と感じやすい。後悔ではなく、「親としてできることはやれた」という思いを支えることが重要である。

 このように、高校卒業後の体制づくりは多くの課題を有しており、各地域での取り組みを強化できるような体制づくりが求められる。

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