面接の直前アドバイスとして、面接官の好感度を上げるポイントを示しておく。実際に面接が始まるときに思い出して対応しよう。
入室時にノックをする際、まずきちんと立ち、一呼吸し、背筋を伸ばしてから、ドアをコンコンとたたいてほしい。すっとドアを開け、真っすぐ入り面接官の方を見てゆっくりお辞儀をしてから椅子のある方へ進んでいく。椅子の横に立ち、もう一度お辞儀をして、「どうぞ、お座りください」と言われるのを待つ。
面接中、人の話を聴いている態度を感じられるようによく見せるには相手方向に体を傾けたりうなずいたりの動作が必要だ。また姿勢が崩れ前かがみにならないよう気を付ける。
面接が終わり、「以上です」と言われたら、一度しっかり正しい座り方で姿勢を整え、立ち上がる。「ありがとうございました」「失礼いたしました」などとゆっくり面接官の目を捉えきちんと礼をしてから退席する。一つ一つの動きにめりはりを付けるようにする。ドアを開けて出るときにも面接官に体を向け、しっかり礼をして面接官に視線を送ってから部屋を出る。
質問には「はい」「いいえ」だけで回答が済むもの、答えを誘導し選択させるもの、考えてから答えさせるもの、などがある。どのような質問でも「はい、……です」だけで済ませるのでは不十分である。質問に対応した答えを結論として先に述べ、その根拠や理由を簡単に加えるとよい。短文を組み立てることで、明快な答えとなり、相手を次の質問に向かわせることができる。それには答えを瞬時にまとめ、文章を作りながら回答することである。
簡単にいうと、「……だから、……です」より、「……です。というのは、実は……だから」とまとめる方が明快になる。
考えている間の沈黙が長いと面接官はいらいらするので、「そうですね、まとめてみますと」など相手を見て語りながら頭の中で回答を組み立てるようにする。
面接官の言葉を借りて「趣味ですか。趣味は○○です」のように言葉を繰り返さないようにする。「えーと」とか「んーと」などの音が意味なく文頭に出るのは大人らしさを感じさせないので、避けるようにする。「大人らしさ」は、面接では重要である。
慌てると動揺が表情に出る。「ちっ」と舌打ちをするような表情、真っ青になっていく様などを面接官は捉えている。どのような場合でも、慌てず毅然と振る舞えることは信頼感につながる。ポイントは質問をしっかり聞き取り、何をどう答えるか考えてからゆっくり述べることである。答え方の中で、早くしゃべる部分、ゆっくりしゃべる部分を使い分け、言葉と言葉の「間」を十分に取る。
「引用してから回答を述べる」「おうむ返し」などの応答法がある。困ったら使うとよいだろう。例えば、「子供がつかみ合いのけんかを始めたらどうしますか」と問われたら、考える時間を取るために「放っておくとけがをするような場合でしょうか。つかみ合うようなけんかを始めたらということですよね」などと質問の確認をするようなことをゆっくり述べ、考えを整理する時間を取るようにする。
面接中は、面接官をはじめ、他人の話を「積極的傾聴」しているという態度が必要である。うなずく、目で答える、というだけで対話に参加している素振りができる。話し手の方に首を向けうなずくだけでよい。
自分だけが面接官と対話するときは、緊張してかちかちになって座ったままより、身ぶり、手ぶりを少し使うようにするとよい。余裕が感じられる。面接官の話にうなずくのはもちろん、会話が弾んできたら「相づち」を打つ。答える前に「はい」と言うだけよりコミュニケーション能力が高いと評価されるようになる。例えば面接官の話に共感、納得した場合は、「なるほど、よく分かります」「おっしゃるとおりです」「そうですね」「○○ということですね」などと答えるとよいだろう。
グループ面接時には数人でぞろぞろ並んで歩いて着席する。ほんの数秒だが、人と比べられる瞬間である。さりげなく人に配慮することができるかどうか、自然体でできる人は好感度が高くなる。例えば先に入った人がドアを押さえていたなら軽く会釈してから入るとか、後ろの人が遅れていればドアを押さえて待つなどである。先の人と少し体がぶつかるようになった時は、「お先にどうぞ」という気持ちで譲るようにする。われ先にあいさつをする、自分だけが形を整えようとする、などというのは見苦しく、面接官からの評価も下がる。
集団討論などでテーブルを囲んだ場合に気を付けたいのは、肘をつく、隠れて見えないので足を組む、足を椅子の中に引くなど。いずれもだらしなく見える。
次のような言葉は、日常的によく使ってしまうが、子供っぽく聞こえるので言い換えるようにしたい。
▽こっち、そっち、あっち、どっち、さっき、やっぱ→こちら、そちら、あちら、どちら、先ほど、やはり(詰まるような音の言葉は使わない)
▽こんな、そんな、あんな、どんな→このような、そのような、あのような、どのような(これらの言葉の「ン」は使わない)
▽「時系列を示す言葉」かなり前、おととい、きのう、きょう、あす、あさって、しあさって、かなり先→先日、過日、一昨日、昨日、本日、明日、明後日、後ほど、後日(表現を変える)