第9回 学校看護師の離職とやりがいについて

第9回 学校看護師の離職とやりがいについて
【協賛企画】
広 告

 医療的ケア児の増加に伴い、学校でケアを担う学校看護師の役割の明確化や体制づくりが課題になっている。一方で、学校看護師については高い離職率、人材不足が報告されている。離職理由には、①労働雇用条件への不満②人間関係③教諭との連携④家庭生活とのバランス⑤看護師としてのやりがいや満足⑥学校での看護が分からない⑦子どもをケアすることへの不安⑧病院と異なる看護実践⑨精神的負担――などが挙げられている。

 看護分野では、離職予防の取り組みの一つとして、専門職としてのやりがいが重要視されている。筆者らの調査では、学校看護師の看護実践におけるやりがいとして7つのやりがい体験が明らかになった。

 学校看護師のやりがい体験は、その基盤となる「子どもが好きという原動力」があり、教員や子ども、家族と協働することで「教諭との協働による楽しさ」や「かけがえのない成長の喜びを分かち合う」ことを実感していた。「日常の1コマを守る看護」を積み重ね、また、家族との関わりは時に困難があるものの、円滑に進んだ際には「家族との関わりの充実感」を得ていた。医療とは異なる教育現場で、学校看護師ならではの技術の会得による「専門職としての充実感」、看護職として多方面のスキルを求められ「地域の医療と教育の包括ケア」を担う役割の拡大などが、やりがいになっていることが見いだされた。

 特に、教諭との連携において「自立活動の目標の共有」は重要であった。特別支援学校の小学部・中学部の学習指導要領において自立活動の目標は「個々の児童又は生徒が自立を目指し、障害により学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服するために必要な知識、技能、態度及び習慣を養い、もって心身の調和的発達の基盤を培う」と示されている。こうした教育活動の目標を学校看護師も共有することで、ケアのタイミングや方法、子どもとの関わり方、教諭との連携などが促進され、子どもの育ちを支える土台になると考えられる。医療機関とは異なる学校での看護、教員との連携に関する知識・技術を習得できる場を設けるとともに、雇用条件の改善や学校看護師の相談先の確保、専門性の構築を早期に図っていくことが重要と考える。

広 告
広 告