7月後半に、中学3年生の授業を参観する機会があった。ある女子生徒が「夏休みに入ると楽しい気分になるけど、2学期が始まる前は絶望的な気分になる」と発言していた。その生徒へのフォローの必要性を学校に伝えた。
文部科学省は、昨年7月10日、今年2月27日に続き、7月12日に「児童生徒の自殺予防に係る取組について(通知)」を発出した。長期休業明けに児童生徒の自殺が多いこと、度重なる通知にもかかわらず、児童生徒の自殺が後を絶たないことと関係しているのだろう。
この通知の中で、18歳以下の自殺は、学校の長期休業明けに増加する傾向があること、昨年は、8月~10月にかけて自殺者数が多い傾向にあったこと、2023年の児童生徒の自殺の原因・動機として、学校問題のうち約6割が学業不振や入試・進路に関する悩みであることなどが指摘されている。
文科省が毎年実施している「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の『自殺した児童生徒が置かれていた状況』をみると、学業等不振、進路問題の他に、家庭不和、父母の叱責(しっせき)など、いじめを除く友人関係での悩み、精神障害など多岐にわたっており、何が原因か分からないところに対応の難しさがある。
教師一人一人が、新学期を迎える児童生徒の心の内にある悩み、苦しみ、不安を敏感に感じ取り、それを踏まえた配慮や声掛けをすることが求められる。「なぜあの子が…」そんな悲劇から子供たちを救いたい。夏休み明け前の時期からのケアが何より重要である。