学校現場の下も大きな課題である「いじめ」については、面接試験でも問われることが大変多い。この想定問答から、自分なりの回答を考えておこう。
保護者から「うちの子供がいじめられている」という電話がありました。学級譚にとして、どのように対応しますか。
〈回答例〉
これはいじめを許さない学級経営の再出発の機会と受け止めます。まず、保護者からの訴えに対して感謝と謝罪を伝え、不安や動揺の気持ちを共感的に謙虚な気持ちで受け止めます。直接会って正確な事実と取り組みの方針を伝えます。その事例の事実関係を整理し、学年会や生活指導部で報告します。
次に、学級への具体的な指導をします。「いやなことを言わない・されないこと」「参加を強制しない・されない」指導や仲間づくりの指導をします。
さらに、被害・加害児童との定期的な相談活動と共に、定期的な被害児童保護者との連絡を取ります。
〈ポイント〉
この回答は、自分ひとりで抱え込まず、謙虚な態度で取り組みの方針を伝えようとしています。学校の問題として受け止めながら学級での具体的な指導をしようとしています。このように被害・加害児童や保護者への聞き取りや指導について手順や留意点を、自分なりに整理しておくとよいでしょう。
道徳の授業で最も大切にしたい内容とその指導法を教えてください。
〈回答例〉
学校でのいじめや不登校のニュースが後を絶たない現状があります。私は「主として他の人との関わりに関すること」を挙げます。そのために、認め合い支え合う学級づくりに力を入れ、日常の教育活動と内容項目との関連を図る理科や総合的な学習、行事などの豊かな体験の場を計画します。授業では、学習課題を子どもの側から捉え、具体的な場面を想起させ、子どもの考えをしっかり引き出せるようにします。自分と異なる意見や立場を大切にできるように、子供とともに考え、悩み、感動を共有していく姿勢で指導に当たります。
〈ポイント〉
道徳の時間は、道徳的価値の自覚や自己の生き方についての考えを深め、道徳的実践力を育成する時間です。この回答は指導のポイントを押さえています。また、学級における指導計画を持ち、子どもの本音を引き出そうとする学級の環境づくりや場の設定への配慮が伺えます。
いじめの問題について、あなたの考えと、いじめを起こさせないために具体的に何をするか教えてください。
〈回答例〉
いじめの問題はどんなささいなことでも自分だけで対応せず、管理職に報告・相談をして学校全体の問題として取り組むことが大事であると考えます。
子供の問題行動の背景には必ず、笑顔がなくなる、視線を合わそうとしない、体調不良の訴え、机やいすの傷付け、嘲笑、冷やかし、無視などの前兆があります。これらを決して見逃すことなく、子供の側に立って十分話を聞くなど、的確な対応に努めます。
いじめは人権の問題としても是対に許すことのできない行為です。毅然とした態度で臨み、いじめを受けている子供には全力で守ることを約束します。また、日頃から人を呼ぶときは「~さん」と、相手を尊重する心の醸成と環境づくりに努めます。思いやりに満ちた学級の集団、授業が楽しく、登校が待ち遠しい学級づくりは、いじめの未然防止にもつながると確信します。
〈ポイント〉
全体の問題として取り組む、前兆を見逃さない、いじめは人権の問題で許されない行為、思いやりに満ちた楽しい学級づくり――。考え方も取り組みも良いですね。いじめ問題のない、子供主役の学校を作りたいですね。
いじめと思われる子供の様子を見たので、同学年の教員に話しました。その教員に「子供の遊びのようなものだからよくあることよ」といわれました。あなたはどのように対応しますか。
〈回答例〉
話を聞いたこの教員は、いじめについての認識が甘いと思います。ですから学年主任や生活指導担当など他の先生に相談します。さらに、ふざけ合っていた子どもたちの休み時間や放課後の雑談にも目を配ります。その子どもたちの友人奸計の情報も集めます。子供たちからと養護の先生やその子たちをよく知る先生からも事実関係を聞いて判断します。自分で掴んだ情報を整理して、相談した教員に報告します。
〈ポイント〉
この設問はいじめの早期発見と早期対応法が問うています。この回答は、いじめの早期発見の手立てを心得でいます。適切で迅速な対応をするには、些細なことであっても真剣に受け止めて、すみやかに教職員相互の情報交換が欠かせません。事実関係の把握を正確かつ迅速に行い、記録しておくことが重要です。これらの積み重ねが危険信号を見逃さない感度の高い受信機を備えた教職員を育てることになります。