第2回 ソーシャルワーカー(SW)って何屋さん?(後編)

第2回 ソーシャルワーカー(SW)って何屋さん?(後編)
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 近年、学校でのソーシャルワーカー、スクールソーシャルワーカー(以下SSW)の活用が言われるようになってきました。文部科学省のスクールソーシャルワーカー活用事業を説明するページには、「問題を抱えた児童生徒に対し、当該児童生徒が置かれた環境へ働き掛けたり、関係機関等とのネットワークを活用したりするなど、多様な支援方法を用いて、課題解決への対応を図っていく」とあります。

 この一文には「問題を抱えているのは児童生徒」という考え方があり、そのためにSSWが介入するという在り方を示しています。前回紹介した「子どもが教室を飛び出し、暴れてしまう」という状況は、全国の小学校でたくさん起こっていると思います。学校では「不適応行動」と呼ばれるものです。

 ソーシャルワークは、「人と環境との相互に影響し合う接点」に介入します。簡単に言うと、子どもが教室を飛び出してしまうという現象にはどのような背景が広がっていて、何に影響を受けて現在の行動を取っているのかに着目して考えるのです。仮に、この子どもに発達障害があったとして、それだけが原因で教室を飛び出してしまうのでしょうか。

 この「背景に着目する」ために、まずはアセスメントを行います。アセスメントとは、その「人」に関するさまざまな情報を多角的に捉え、見立てをすることです。一人一人の情報を持ち寄り、いろいろな条件から導き出される「子ども像」を整理すると、その子が飛び出す条件が見えてくることがあります。それは、教科によるのかもしれないし、授業の進め方や先生との相性の場合もあります。または、友達とのけんかや家庭内のストレスなどの家庭環境が関係していたりすることもあります。どれか一つだけが原因ということではなく、複数の原因が複雑に重なり合って一つの現象になっているのです。

 ソーシャルワーカーは、こうしたアセスメントを通じ、その子のさまざまな権利が守られるよう環境調整を考えていくことが仕事であり、すぐにどこかの専門機関へつなげる人ではないのです。

 ソーシャルワークは何かしらの「困り」に対し、その問題を個人の問題と捉えず、その人が置かれている環境との間の不具合を見立て、環境に働き掛けます。

 発達障害の第一義的な治療は「環境調整」であると言われていることを踏まえると、子どもの行動の後ろ側に広がる背景を見ていくことに合理性があるのです。

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