ここ数年、児童生徒が抱える複雑・多様な課題への認知が進み、さまざまな側面から法や仕組みが整備され、たくさんの子どもが学校で包摂されるような仕組みがつくられています。子どもの権利条約の精神に近づけようとする努力とも感じます。
これまで、ソーシャルワークは①社会そのものを「社会モデル」で捉え直し、全ての人の権利が守られるように働き掛けること②個別性の高い事情について環境調整をすること(ケースワーク)――だと伝えてきました。
子どもの権利条約には、世界中の全ての国や地域の子どもたちと、その個々の属性(人種、言語、文化、宗教、障害、社会的養護など)がどうであっても、その子たちの権利を守るために大切にすることが書かれています。
「嫌なことがあると、すぐに暴れてしまう子どもがいるんです。何を聞いても答えてくれないし、何かあるならはっきり言ってもらえないと困りますよね。『生徒指導提要』にも意見表明って書かれているし、自分の意見を言ってくれたら対策を考えることができるのに、何も言ってくれないからどうすることもできなくて困ります」
さて、今回も合理的配慮のお話です。前回、合理的配慮と基礎的環境整備(社会モデルで考える)はペアであるとお伝えしましたが、合理的配慮にはもう一つ大切な視点があります。それは「対話をもって調整をするプロセスを踏む」ということです。申し出に対して(100%でなくても)どのようなことができるのかと、双方で考える姿勢を大切にすることです。
「黒板を写すのが苦手で、合理的配慮で黒板の写真を撮らせてほしいと言われて…。必要ならやりますけど、それらしい診断(筆者注:LDなどの学習障害の文言と理解)がないと学校としても周りに説明を求められたときに答えられなくて困ってしまいますよね。他の子どもたちにずるいと言われてしまいますから」
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