【神谷正孝の5分でわかる教育時事2025(2)】教育時事の基礎 理解を助けるキーワード解説

【神谷正孝の5分でわかる教育時事2025(2)】教育時事の基礎 理解を助けるキーワード解説
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 皆さん、こんにちは。仙台を拠点とする教員採用試験対策専門スクールkei塾主任講師の神谷です。今回は教育時事対策の基礎として今後学習を進めていく中で、目にする機会の多いキーワードについて解説したいと思います。

◇ ◇ ◇

学習指導要領関連

 学習指導要領は、各学校が作成する「教育課程」の基準として、文科相が告示するものです。各学校は、児童生徒の実情や地域の実態を考慮して、学習指導要領に基づいた教育計画である「教育課程」を編成します。学習指導要領は社会情勢や子供たちの課題に応じて、約10年ごとに改訂されています。

 現行の学習指導要領は2017・18(平成29・30)年に改訂され、2030年以降の社会を見据えて必要な資質能力を身に付けることを目指しています。そこでは「資質能力の3つの柱」として「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」が挙げられています。

 また、学習指導要領においては、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善についても示されています。「主体的な学び」とは、学ぶことへの興味関心を持ち、見通しを持って取り組み、学習活動を振り返って次につなげる学びです。「対話的な学び」とは協働や対話を通じて自己の考えを広げ深める学びです。そして「深い学び」とは、習得・活用・探究のプロセスの中で、知識を関連付けて深く理解することや、情報を精査して考えを形成すること、問題の発見と解決、思いや考えを基に創造することに向かう学びです。これらを基に質の高い学びの実現に向けた授業改善を図ることが求められています。

GIGAスクール構想

 GIGAスクール構想とは、全ての児童生徒に対して「1人1台の端末」と「高速・大容量のインターネット環境」を整備し、ICTを活用した教育を推進する取り組みです。これにより、特別な支援を必要とする子供を含め、多様な子供たちを誰一人取り残さず、公正に個別最適化され、資質能力が一層確実に育成できる教育環境を実現することを目指しています。19年に文部科学省がパッケージを示し、各自治体がそれに基づく取り組みを進めています。

STEAM教育

 STEAM教育は、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術(Art)、数学(Mathematics)の5つの分野を統合し、これらの知識を実生活での問題発見・解決に生かしていくための教科横断的な教育方法です。そこでは児童生徒が単に知識を学ぶだけでなく、それらを用いて創造的に問題解決を行う能力を培います。

PBL(問題解決型学習)

 PBLは、児童生徒が具体的な課題やプロジェクトに取り組むことで学びを深める学習です。実際の問題を基にして、調査・分析・解決策の提案を行い、学びをより実践的かつ主体的に進めることが特徴です。

個別最適な学び・協働的な学び

 学習指導要領でも重視されている「個に応じた指導」を学習者の視点から捉えたものが「個別最適な学び」です。一方、個別の学びが孤立したものにならないよう、探究的な学習や体験活動などを通じて子供同士・多様な他者と協力して学ぶ「協働的な学び」も同時に重要視されています。21年の答申では、目指すべき「令和の日本型学校教育」の姿を「全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現」としています。

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 以上、今後の教育時事の学習において理解の基盤となるキーワードを挙げてきました。次回からは個別のテーマについて解説してきたいと思います。

 

問題編

1.次の各文のうち,「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現~(答申)」(令和3年1月26日中央教育審議会)の中の,2020年代を通じて実現すべき「令和の日本型学校教育」の姿に関する記述の内容として誤っているものはどれか。1~5から一つ選べ。

1 新型コロナウイルス感染症の感染拡大による臨時休業の長期化により,多様な子供一人一人が自立した学習者として学び続けていけるようになっているか,という点が改めて焦点化されたところであり,これからの学校教育においては,子供がICTも活用しながら自ら学習を調整しながら学んでいくことができるよう,「個に応じた指導」を充実することが必要である。

2 全ての子供に基礎的・基本的な知識・技能を確実に習得させ,思考力・判断力・表現力等や,自ら学習を調整しながら粘り強く学習に取り組む態度等を育成するためには,教師が支援の必要な子供により重点的な指導を行うことなどで効果的な指導を実現することや,子供一人一人の特性や学習進度,学習到達度等に応じ,指導方法・教材や学習時間等の柔軟な提供・設定を行うことなどの「指導の個別化」が必要である。

3 「協働的な学び」においては,集団の中で個が埋没してしまうことがないよう,「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善につなげ,子供一人一人のよい点や可能性を生かすことで,異なる考え方が組み合わさり,よりよい学びを生み出していくようにすることが大切である。

4 「協働的な学び」においては,学校行事や児童会(生徒会)活動等を含め学校における様々な活動の中で学級内や同学年内の交流の機会を充実させることに重点を置き,子供が自らのこれまでの成長を振り返り,将来への展望を培うとともに,自己肯定感を育むなどの取組が大切である。

5 各学校においては,教科等の特質に応じ,地域・学校や児童生徒の実情を踏まえながら,授業の中で「個別最適な学び」の成果を「協働的な学び」に生かし,更にその成果を「個別最適な学び」に還元するなど,「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に充実し,「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善につなげていくことが必要である。

 

解答 4 【解説】正しくは「「協働的な学び」は,同一学年・学級はもとより,異学年間の学びや他の学校の子供との学び合いなども含むものである。知・徳・体を一体で育む「日本型学校教育」のよさを生かし,学校行事や児童会(生徒会)活動等を含め学校における様々な活動の中で異学年間の交流の機会を充実することで,子供が自らのこれまでの成長を振り返り,将来への展望を培うとともに,自己肯定感を育むなどの取組も大切である。

 

2.「『GIGAスクール構想』について(令和2年7月7日 文部科学省)」の中で,GIGAスクール構想について説明している次の文の空欄に入る語句の組み合わせとして適切なものを,1~6の中から1つ選んで番号で答えなさい。

・1人1台端末と,( ア )の通信ネットワークを一体的に整備することで,特別な支援を必要とする子供を含め,多様な子供たち一人一人に個別( イ )され,資質・能力が一層確実に育成できる教育ICT環境を実現する

・これまでの我が国の( ウ )と最先端のICTのベストミックスを図り,教師・児童生徒の力を最大限に引き出す

  

1 ア:短距離無線  イ:細分化  ウ:教育課程

2 ア:短距離無線  イ:最適化  ウ:教育課程

3 ア:短距離無線  イ:細分化  ウ:教育実践

4 ア:高速大容量  イ:細分化  ウ:教育実践

5 ア:高速大容量  イ:最適化  ウ:教育課程

6 ア:高速大容量  イ:最適化  ウ:教育実践

 

解答 6

 

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