この原稿を書いている段階では、まだ昨年度の不登校児童生徒数は発表されていないので明らかなことは言えないが、この10年間、不登校児童生徒は増え続け、2021・22年度は20万人を超えて過去最多となっている。
学校外の機関で相談や指導を受けたり、自宅においてICTを活用した学習活動をしたりして出席扱いにされる児童生徒も増加している。19年の通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」や23年の「COCOLOプラン」において、不登校児童生徒の学校外の機関や自宅での学習の成果を成績に反映することが示されていた。
今年8月に文部科学省は学校教育法施行規則を改正するとともに文科省告示を公布し、不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果を成績に反映させることを明確化した。不登校であっても懸命に学び続ける努力を積極的に評価しようという趣旨だ。
しかし、8月29日付の「不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について(通知)」には「留意事項」として10項目示されているが、学校外における児童生徒の学習状況の把握など、学校の負担がかなり大きくなることが予想される。それに対して文科省は、学校における働き方改革のさらなる加速化、教師の処遇改善、学校の指導・運営体制の充実を一体的・総合的に推進すると回答している。
真に不登校児童生徒の学びを保障し、児童生徒の学習意欲に応え、自立を支援しようとするならば、回答に示された内容を迅速かつ確実に実施しなければ、絵に描いた餅になってしまうだろう。