第5回 不親切教師的保護者との関係づくり

第5回 不親切教師的保護者との関係づくり
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 今回は、学級担任には特に関心が高いであろう「保護者との関係づくり」についてです。子どもに最も近い保護者に、「不親切教師」としての対応を理解してもらう必要があります。

 子どもに生きる力を付けてほしいということ。すなわち、子どもには自らの人生の主役として、主体的に生きていってほしいという願い。これこそが「不親切教師のススメ」の信念であり、これを柱として接すれば、まず間違いありません。

 例えば、第2回に忘れ物があった場合の対応について書きました。要は、教師にとっても子どもにとっても保護者にとっても、無理なく負担の少ない方法を取ればよいのです。

 保護者に対して求めるべきことは、保護者にしかできないことです。食事・睡眠・家庭学習の習慣がそれです。私は常々「寝る前の絵本読み聞かせ」や「抱っこ」を推奨していますが、これなどは「できればぜひ」というところです。あえてはやり言葉で「コスパ」という表現をするならば、これはコスパ最高です。親子のつながりはもちろん、言語面や情緒面において大きな成果をもたらします。

 また、実務的な面で言えば、学習に必要な物の準備や連絡帳へのハンコ、各種支払いや承諾書の提出もそうです。これらは教師にはできないことなので、保護者にはっきりと要求します。連絡帳のハンコなどは「たかがこれぐらいのことを」と思うかもしれませんが、子どもにとっては「自分のことを気に掛けてくれているかどうか」の試金石です。ハンコ忘れの少なさは、子どもへの関心の高さの指標の一つになります(もちろん、家庭のしんどさや子どもの数の多さなどは考慮した上です)。

 だから私は毎日、連絡帳に日記を書かせます。今日学んだこと、気付いたことなどを3分程度で書かせます。それは保護者への「個人学級通信」なのです。いやが応でも、強制的に関心をもってもらうよう仕掛けます。これこそが、不親切教師ならではの真の親切心なのです。子どもの人生の質の向上にこだわるのです。

 子どものけがについても同様です。学校生活において、小さなけがは必要だと伝えます。子どもを心身ともにたくましく育てることを目指していることを理解してもらいます。

 これら一切の方針を伝える一番効果的なタイミングは、最初の懇談会です。面と向かって伝えることができます。子どもの主体性獲得に必要なことは臆せず、はっきりと伝えていきましょう。

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