第7回 行列の禁止 丸付け・声掛けは3秒で

第7回 行列の禁止 丸付け・声掛けは3秒で
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 授業中、長い行列ができている教室。列の先頭には教師による必死の丸付けと、丁寧な指導を受けている子どもの姿が見られます。前方には待ち疲れてあくびをする子どもの姿。後方には、ここぞとばかりにふざけ始める子どもたちの姿。よく見る教室の光景です。

 不親切教師は、この行列を嫌います。教室における行列は、おせっかい、無駄な親切心を具現化したものだからです。かつて教室における教育技術の必要性を訴え、法則化運動を全国へ広げた向山洋一氏は、教室の行列の後ろには「学級崩壊の亡霊」が立っていると表現しました。まさにその通りで、騒然とした教室にはこうした行列現象がつきものです。

 しかしながら、授業中には一人ずつの学習定着度の確認も、個別の指導や声掛けも必要です。とはいえ、ノートを持ってこさせてチェックすれば行列ができやすくなります。では、どうすべきでしょうか。

 答えは単純明快で、一人あたりの指導時間を短くすればいいのです。キーワードは「短く何度も」です。ベストは3秒以内です。3秒あれば、〇×の確認とポイントの指摘、励ましの声掛けまで一連の動作ができます。

 算数の計算問題チェックの場面を例に挙げます。4問程度なら、全て答えを暗記しておけば見た瞬間に分かります。その場合、1ページに書かれているなら大きく〇一つを付けて「よし!」「OK!」「次行こう!」「丁寧に書けてる」などの一言でいいでしょう。間違いがあれば×(チェックマーク)を付けて、「近い。惜しい」「繰り上がりに気を付けて」「頑張って!」など、必要に応じた一言を付け加えます。問題数が10問などの場合は間違えやすい1問、これができたら次からも自力でできるだろうという1問のみに〇を付け、残りは早く終わった子どもが黒板に書く、答えを掲示しておくなどしてセルフチェックできる状態をつくっておきます。何でも自力でできるようになることを目指すのです。

 このようにすると当然、途中で教師の手が空きます。苦戦している子どもへの個別指導のチャンスです。これも、短く指導してはすぐに離れ、何度も行きます。

 もし、長い行列ができてしまった場合は、仕切り直しです。全員を一度席に戻します。正直に、全員を見きれないこと、判断と指示を誤ったことを伝えて謝ります。リーダーとして作戦の誤りに気付いた場合は、そのまま突き進むのではなく、素早く撤退の決断をすることが大切です。行列をつくらないと決めれば、教室の空気が変わります。

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