ICTの進展と学校現場への普及などもあり、授業形態は多様化してきている。それでも、一番多いのが一斉指導であり、教採試験の模擬授業も一斉指導という状況で行われるのが一般的である。その一斉指導においても個に応じる対応を取り入れている、ということを示すのが試験官の目を引くポイントである。「一斉指導でいかに個に対応するか」という技術について紹介する。
▽小刻みに全員をチェックする
例えば、「国語で自分の考えをまとめてノートに書く」といった作業場面があったとする。作業している児童生徒の間を机間巡視したり、ノートを教卓に持ってこさせたりして、一人一人に対応した指導を行うのである。個に対応するというのは多様な方法があるが、いずれの場合でも大事なのは個々のチェックを短時間にすることと、「よくできた」「いいね」といった短い励ましを言うことである。
挙手で一斉に確認をする方法もある。「3つ書いた人はいますか」「5問まで解き終わった人はいますか」などのようにである。
模擬授業では、作業の時間などを設定し、「これから10分で自分の考えをノートにまとめてください」などと指示。その後、机間巡視を行い、ノートをのぞきこみながら「よくまとまっているね」「もう少し短くまとめましょう」などと個別の指導をするとよいだろう。
▽「分かりやすい言葉で」「短く」指導
授業では、つまずきのある児童生徒がどうしても出てくる。その子の個別指導に専念してしまうと「作業が早い子が退屈する」という弊害が生まれる。こういう子にはあらかじめ特別な問題のプリントなどを作成しておき、それに取り組ませたりして対応する。個別指導を受けている子の中には、「自分はできない」という劣等意識が生まれてしまうことがある。従って、つまずいている子には「分かりやすい言葉で」「短く」指導することが大事である。ノートを見ながら、「どこが分からないの」「そこまで分かっているなら大丈夫」などのようにである。模擬授業でそのような場面をつくってもよい。